• "ヒアリング調査"(/)
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  1. 仙台市議会 2016-07-06
    地域経済活性化調査特別委員会 本文 2016-07-06


    取得元: 仙台市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-24
    1:                  ※会議の概要 ◯委員長  ただいまから地域経済活性化調査特別委員会を開会いたします。  説明員の出席についてでございます。説明員の出席についてでございますが、本日は、経済局及び文化観光局より関係職員の方々に御出席をいただいております。  次に、本日の委員会の進め方についてでありますが、お手元に配付いたしました日程のとおり、まず、有識者からの意見聴取を行います。有識者からの意見聴取を40分程度、質疑応答を20分程度考えております。意見聴取終了後、次回の委員会等についてお諮りしたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、早速意見聴取を行いたいと思います。既に御着席いただいておりますが、本日は、株式会社JTB総合研究所コンサルティング事業部コンサルティング第一部研究員の小坂典子様をお招きいたしておりますので、皆様に御紹介をいたします。 2: ◯小坂典子参考人  皆様、よろしくお願いいたします。 3: ◯委員長  小坂様には、大変お忙しい中、当委員会のためにお時間を割いてお越しいただきました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  皆様のお手元には小坂様の略歴書をお配りしておりますので、後ほど御高覧いただきたいと思います。  また、本日は、同じく株式会社JTB総合研究所コンサルティング事業部コンサルティング第一部主任研究員の倉谷裕様にも御同席いただいております。どうぞよろしくお願いをいたします。 4: ◯倉谷裕参考人  倉谷でございます。よろしくお願いします。 5: ◯委員長  それでは、早速お話をいただきたいと思いますが、小坂様と倉谷様には着席のまま進めていただきますよう私よりお話しさせていただいておりますので、委員の皆様、よろしくお願いをいたします。  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。 6: ◯小坂典子参考人  改めまして、JTB総合研究所の小坂と申します。本日はお呼びいただきまことにありがとうございます。  本日は、スライドを照らしながらお話しさせていただこうと思いますが、本日の題として「仙台市と山形市の観光の現状とこれから」という題でお話しさせていただきます。約40分間ほどになりますが、おつき合いのほどよろしくお願いいたします。  仙台市と山形市の連携ということですが、東北の観光においてこの二つの都市の連携というものは、まさに軸となっていくと考えています。6月18日に仙山カレッジというものが山形市で開かれたのですが、そちらに私も参加させていただきまして、山形市からの仙台市の必要性というものを非常に感じました。その運行状況ですとか二つの都市の昔からのかかわり、そこはこれからの観光振興においても最も根幹となる部分で、その土壌がこの二つの都市にはあるのだなということを感じた次第です。  本日のお話ですが、まず、広い範囲での国内旅行の動向というもの、次に、訪日旅行の動向、次に、東北地方の観光の動向、そして、仙台市と山形市での観光連携、それから、これからの観光の可能性ということでお話しさせていただきます。  皆様もこちらの図はよくごらんになるかと思いますが、日本の人口減少の予測となっております。人口減少がこれからも進んでいき、2050年には1億人以下、2060年には総人口の約40%が65歳以上になる見通しとなっております。現在、仙台市においては、人口がやや上昇ぎみにあるとは思いますが、それも日本全体としては、将来的には減っていくということが予想されております。また、この人口減少の中では、皆さんも御存じのように、都市と地方との格差というものができております。地方都市から都市に向かって人口が流出し、地方創生という現象、今はそういう風潮になっております。  この人口減少という現象に対して、観光が非常に効果的な役割を果たします。こちらは観光庁によって出されたデータですが、定住人口1人当たりの年間消費額は約125万円となっておりますが、訪日外国人観光客1人1回当たりの消費額は約15万円、国内の宿泊観光客は約4万7000円、国内の日帰りの観光客は約1万5000円を1回当たりの旅行で消費します。これをもとに定住人口1人当たりの年間消費額が、旅行者の消費に換算すると外国人旅行者9人分、国内旅行者(宿泊)27人分、国内旅行者(日帰り)84人分に当たります。つまり、観光客、交流人口をふやすことによって、定住人口の減少をカバーしていくことができます。  こういう前提のもとに観光振興を各地方で行っていこうという風潮になっておりますが、まず、国内の旅行の動向について見ていきたいと思います。こちら日本人の国内観光旅行の状況ですが、日本人の国内旅行消費額が左の円グラフになっておりますが、日本人による旅行の消費額が約9割を占めております。現在はインバウンドとかなり騒がれておりますが、実を言うと、日本人による旅行の消費額がほとんどを占めているという現状があります。そして、左のグラフは日本人の宿泊旅行の推移になりますが、2013年以降、一旦減少しております。2014年以降2015年にかけて上昇傾向にありますが、今の経済動向の不安定さなどからも、消費者たちが消費を控える現象にもなっております。しかし、今後の地域経済の活性化には、国内旅行の振興が欠かせないということは言えます。そのため、ただいまインバウンド誘致ということがよく言われますが、国内旅行者、日本人の旅行者も欠かせないということをここで述べたいと思います。  また、旅行の行動の変化ということで、観光の質の変化のことをお話しいたします。これまでの観光では、非日常を求める観光、名所や物見遊山的な観光、リゾート地観光などが一般的でしたが、最近では、地域との出会い、つまり、生活体験型の観光が求められてきております。ミレニアム世代と言われるような2000年以降に生まれた方々についても、今の旅の傾向として、生活体験や地元との交流を求めるということが、弊社の調査研究でも明らかになっております。こうした旅行者のニーズの変化に応じて、地域や旅行会社に求められるニーズも変化してきております。
     次に、訪日観光の動向です。左のグラフは訪日観光客数の推移になります。そして、右のグラフはその国籍の割合になっております。こちらのグラフからもわかりますように、2014年以降2015年にかけて、訪日外国人観光客数は急増しております。2015年には、約2000万人に到達しております。その約8割がアジアからの観光客となっております。  訪日外国人観光客ですが、もともとはゴールデンルート、東京や京都、大阪などをめぐる観光地をメーンに訪れておりました。しかし、右のグラフを見ていただきたいのですが、こちらは平成26年、2014年から2015年にかけての訪日外国人の訪問地についての数値になっております。どれくらい来たかという数値になっております。三大首都圏に来た数からの伸び率、2015年にかけての伸び率と地方部に来た伸び率を比べてみますと、地方部に観光客が来た、外国人が来た伸び率のほうがまさっているということがわかります。このことから、ゴールデンルートだけではなく、九州、沖縄、東北、北海道など地方部へ足を延ばす訪日外国人観光客がふえているということがわかります。この詳細ですが、この左のグラフが、延べ宿泊数、外国人が宿泊した地方ブロック別のグラフになっておりますが、前年度比でどれくらい伸びたかというグラフになっております。ここでわかるのが、関東では伸び率が非常に低い中、中部地方ですとか中国、四国、九州で伸び率が高くなっております。この実情を言いますと、関東地方では、ホテルの客室稼働率も80%を超えておりまして、宿泊ができないという状況にあります。その宿泊ができなくなった中、訪日外国人観光客中部地方ですとか、中国、四国、九州のほうに拡散しているということがわかります。しかし、東北地方客室稼働率、右のグラフを見てみますと、まだまだ50%前後となっております。ここから、東北地方でも訪日外国人をこれから誘致する余地が大いにあるということが言えます。  次に、訪日外国人観光客が日本に期待することを比較しました。左がアジアの訪日外国人観光客、右が欧米となっております。日本食や自然、景勝地に対する期待は全般的に高いのですが、アジアの方はショッピング、欧米の方々は日本文化や歴史体験に期待をしているということがここからわかります。このように欧米の方々を初め、生活体験型の旅行というものが、現在訪日外国人観光客にとっても求められているということがわかります。  次に、東北地方の観光の動向について見ていきたいと思います。こちらは東北地方の観光客の推移です。震災前の2010年と2015年の比較をしております。全体として震災前の状況に回復している傾向にあります。復興事業もあるとは思いますが、全般的に回復しているということが言えます。また、宿泊観光客数を見てみますと、観光の窓口であるここ宮城県に集中しており、これからの東北全体の観光振興を考えた場合、宮城県から周辺地域にいかに観光客を波及させていくか、人を動かしていくかということが課題になると考えております。ここに広域観光のキーポイントもあると思います。  こちらは、弊社の独自の調査で行っている、日本人から見た宮城県や山形県の観光地のイメージについてです。仙台市に対するイメージとしては、「食事がおいしい」、「魅力的な飲食街がある」、「観光客でにぎわっている」、「街」のイメージですとか、「アクセスがよい」という都市的な観光地のイメージが持たれております。一方で、今連携を考えている山形市や蔵王については、「自然にあふれている」、または「土地ならではのスポーツが楽しめる」、自然が豊かな地域というようなイメージが持たれております。このイメージの違い、資源の違いも、広域観光によってこのポテンシャルを生かしていけることが言えます。  次に、東北地方に来ている訪日外国人観光客について見ていきたいと思います。これを見ますと、台湾、韓国、アメリカからの訪日外国人観光客が多いということがわかります。この台湾人、韓国人、アメリカ人の訪日回数と旅行形態について比較いたしました。これを見てみますと、宮城県にも最も多く来ている台湾人の方々は、非常にリピート率が高いということがうかがえます。ここから、いかに再訪意向を高めるような経験をここでしてもらうかということがポイントとなると考えられます。後ほどもお話しいたしますが、台湾人の方々というのは、旅行を決定する際、旅行の計画を立てる際に、どんな情報よりも口コミの情報を一番重要視しております。この一度来た台湾人の方々にいい経験をしていただき、それを口コミとして発信していただく仕掛けをつくることも一つの方策であると考えられます。  次に、仙台市と山形市の観光連携について話していきたいと思います。仙台市と山形市で広域観光連携を行っていくことによって何ができるのかということですが、皆様も御承知のとおり、仙台市と山形市では、さまざまな資源、異なる資源、魅力がございます。一方でつながり、軸もあります。松尾芭蕉の道ですとか、仙山線のつながり、こうした地域のストーリーをつなぐような軸が必要となってきます。これらの多様な資源を軸を持ってつなげていくことによって、二つの魅力ある資源を強めていくこと、またはないものを補完していくことができます。そうして二つの都市として魅力を高め合っていくことができると言えます。  次に、仙台市と山形市がどこを目指すべきか、ターゲットとするべきかということですが、二つ挙げさせていただいております。まず一つ目は、既存の観光客にリピーター、ファンになってもらうということです。先ほども述べましたように、台湾人観光客リピーターをつくりやすい、みずからもリピーターになりやすいということが言えます。仙台空港も台湾への直行便があると思いますが、このアクセスのよさも活用して、台湾人のファンづくり、宮城県、山形市へのファンづくりをしていくことも必要であると考えております。  次に、訪日経験外国人観光客の次の来日の候補地となるということを挙げさせていただいております。多くの外国人は、まずは東京や大阪に訪れます。次に訪れるところと言いますと、沖縄や北海道ということが今の傾向ではあらわれております。その次に目指すところ、そこがどこかというところです。そこの候補地となることが、今必要ではないのかと思います。現在、ライバルとして考えられるところは九州ではないかなと考えております。九州に匹敵する東北の魅力、それにまさる魅力を今打ち出していく必要があるのではないでしょうか。  では、どうやって仙台市と山形市が選ばれていくのか、何を強みとしていくべきかということですが、前述しておりますように、ふだんの日常生活とは異なる生活や文化、生活体験型の観光を観光客の方々は求めております。そこで異なる生活、異なる文化というものを引き出していくことが必要なのではないかと考えております。こうした異なる生活や文化というものは、日本各地、色とりどりにあると存じておりますが、東北地方にはそれが非常に凝縮しているということを感じております。さまざまな気候帯があり、海や山、里、いろいろな環境があります。その環境に対応したさまざまな人の生活、知恵、知識、そこから築き上げられてきた生活文化というものが東北地方には凝縮されています。それを強みとして磨き上げ、情報発信をしていくことが、今必要なのではないかなと考えております。  こちらの下のほうに事例を挙げておりますが、こちらうるま市の闘牛文化についてです。実はうるま市では、闘牛というものが従来から文化として引き継がれておりまして、牛舎がまちの集会場にもなっていたほどです。これを今観光資源として磨き上げ、地元の生活文化を使って観光客を誘致しております。こちらモニター調査を実施したのですが、東京から5名の観光客を招いて闘牛文化を体験する観光のモニターツアーを実施しました。すると、今まで闘牛というものを全く知らなかった方々も非常に満足をして、評価点が非常に高いということが明らかになりました。  次に、プロモーションの話です。どのようにターゲットに対してプロモーションアプローチをしていくかということですが、皆様も御承知とは存じておりますが、ターゲットが最も利用する情報ツールを用いることが大切です。こちらの下では台湾人を例に挙げさせていただいておりますが、台湾人の観光客の人々のほとんどはSNS上の口コミで旅行計画を決定しております。こちら統計的なデータはございませんが、台湾向け、アジア向け観光広告を出している会社にヒアリング調査をしたところ、台湾人のほとんどの人々がフェイスブックを利用して、フェイスブック上で非公開の日本旅行に関する口コミサイトを使って日本の旅行の計画を立てているということが明らかになりました。ここから台湾人にアプローチする際には、東北の魅力を伝えるフェイスブックページ、台湾語のフェイスブックページをつくっていくことも一つの戦略ではないかと考えます。  次に、ターゲットへの焦点を合わせたアプローチとともに、幅広く旅行計画に必要な情報を観光客、こちらに来たい観光客に届ける必要もあります。ここで提案したいのが、ワンストップで情報を提供するということです。山形や仙台、さまざまな観光資源がございます。そして、観光、旅行に必要な資源、食事ですとか宿泊、レンタルや体験、アクティビティ、こうした情報を一つの窓口で伝えることが必要なのではないかなと考えております。ウエブサイトで山形市や仙台市の観光情報を検索しましても、さまざまなサイト、いろいろなサイトが出てきます。そうなってしまうと、観光客の方々、特にインバウンド、外国人の方は、どれを見たらいいのかわからないという状況になっております。広域で連携をして、二つの魅力を使って、倍増して伝えていくためには、例えば仙台市と山形市で同じ情報サイトをつくるということも必要ではないのかなと考えております。  次に、弊社で行っている地域の事例紹介をさせていただきます。こちら新潟県の粟島浦村の紹介です。こちらも昨年度、弊社で地域活性の事業でかかわらせていただいた地域です。こちらの事例からは、地域の魅力の再発掘とそれを通じた住民の意識の醸成により地域振興土台づくりをした事例として紹介させていただきます。皆様は御存じかと思いますが、粟島は、佐渡の少し北側にある非常に小さな島です。人口300人ほどの小さな島で、縄文時代から人々が住んでいたとされています。明治期の火災によっていろいろな文書、書籍は焼失してしまっていますので、口承でしかその歴史というものは語り継がれていないのですが、昔から北前船の避難する場所であったということが書かれています。その北前船による交流によって、日本海側の各地の文化が持ち込まれ、島という閉鎖空間の中で独自の文化として築き上げられてきております。例えば、越前、越中、越後の笹だんごの文化も粟島に持ち込まれ、粟島独自の文化となっております。秋田の曲げわっぱもこちらの島で使われているのですが、こちらの島では漁師の方々の船上の食事の器として使われております。この食事では、海岸に落ちている石を熱して、それを用いてお湯を沸かすという技術をこの中からも築き上げております。こうした独自の文化が築かれ、凝縮している粟島なのですが、近年では人口流出や高齢化によって、その文化というものが検証されづらくなっておりまして、今後、消失する危機にもありました。  そこで弊社では、その消失してしまいそうな伝統文化生活文化というものを、まず記録すること、また、それを通じて住民意識を醸成していくことを課題として事業に取り組みました。また、先ほどは言いませんでしたが、この島は、実は300人ほどの島なのですが、二つの集落に分かれております。山を挟んで二つの集落があり、この二つの集落が対立している、今でもその対立関係にあるという状況にありました。また、二つ目の課題として、地域の伝統文化生活文化が消失の危機にあるということがありました。  この課題に対して弊社では、伝統民謡を合唱として合唱団をつくり、二つの集落にかかわりなく村民の合唱団をつくることによって、歌を通してその壁というものを融解し、住民意識というものを醸成していくということを行いました。もう一つ、食文化を軸として島の生活文化や語りをもとにそれを記録し、後世につなげるということを行っていきました。これは、インタビュー調査を主に用いて行っていったのですが、このように住民の人たちに自分たちの地域について思い返してもらう、どこが大切なのかということを改めて考えていただくことによって、地域に対する誇りや愛着というものが築き上げられてきたということがこの調査からわかりました。効果としては、島の財産である伝統文化の保全や活用に、二つの集落の村民が一緒に取り組み、島の活性化に向けた土台づくりというものを行ったということです。この土台を築くことが、先ほども述べました生活体験型の観光にとっては非常に重要となるポイントであると思います。  もう一つ、事例紹介をさせていただきます。こちらは東北地方からは遠く離れてしまうのですが、愛媛県の伊方町です。こちらは、佐田岬半島にあるという日本で最も細長い半島に位置するまちなのですが、こちらでは、地域の資源と観光ツールをかけ合わせて地域振興に結びつけた事例として紹介させていただきます。こちらの半島は、かんきつ類の栽培や漁業を基幹産業として営んできたのですが、現在では、全国でもよくあるように、人口流出や農水産業の衰退傾向にあり、観光を軸として地域活性化を行おうとしてきていました。その一環としてサイクリングツーリズムをまちとしては検討しておりました。  このサイクリングツーリズムに弊社でもかかわらせていただいたのですが、サイクリングを行っていくに当たり課題がありました。その課題というのが、半島に築かれたサイクリングコースが、まち、集落と物理的に離れており、その地域との接点を持ちづらいということです。半島の尾根上にサイクリングコースが築かれているのですが、その集落というのは海岸沿い、尾根から下にあり、物理的にまちとの接点がなく、サイクリングのお客様を呼んだとしても、地域の魅力ですとか文化というものを体験していただくことができないという状況にありました。また、前提として、サイクリスト観光消費額が非常に低いということが挙げられます。サイクリングで来るお客様は、地域に目的があるというよりも、走ること、完走することに目的があるため、その地域とかかわりを持ったりですとか地域に観光消費をもたらすということがほとんどないです。この地域とのかかわりが欠如しているということ、観光消費が欠如しているという課題に対して、弊社では地域の生活に触れるようなサイクリングの方法、仕掛けを提案いたしました。そのことによって、観光をサイクリングというものを用いて人を誘客し、それを結びつける地域の生活に結びつけ、経済にも結びつける仕組みを構築していこうということです。  具体的に言いますと、ドライブとサイクリング、またはフェリーを組み合わせて、サイクリングの裾野拡大と消費の拡大をいたしました。サイクリストターゲットとするのではなく、観光を楽しんでいただけるような家族連れ、またはサイクリングをまち歩きのツールとして使いたいようなお客様を呼ぶことによって、まちの経済の仕組みにコミットしていこうということです。下の、パーキングアンドレンタサイクルもその視点の一つです。このように地域における観光というものを、いかに地域の生活文化に結びつけ、地域の経済の仕組みに結びつけていくかということが課題となってきます。  皆様、こちらのスパイバーという会社、御存じでしょうか。山形県の鶴岡市に新たにできた人工蜘蛛の糸を製造しているベンチャーの会社になります。こちらはかなり世界的にも注目をされていまして、ノースフェイスというアウトドア用品をつくっているブランドとコラボレーションもしているのですが、いまだ地域とのつながりはそこまで強くないと感じられます。このスパイバーを資源として地域活性化を考えていく場合、地域との結びつきをいかにつくっていくかということが、現在の課題として挙げられるのではないでしょうか。例えば、山形の伝統工芸品やニットなどにこのスパイバー人工蜘蛛の糸を使用していくことによって、廃れない、崩れない伝統工芸品、将来にも続く伝統工芸品をつくっていくことなど、そうした伝統と新たな技術というもののかけ合わせも考えられるのではないかなと思っております。このスパイバーの活用の方法については、これから地域の皆様で考えていくこと、それが課題となっているのではないかなと考えております。  本日は、生活体験型の観光というものをテーマとしてお話しさせていただきました。最初にも述べましたように、東北地方にはそうしたさまざまな魅力、生活の魅力、伝統文化の魅力というものがまだまだ潜在していると思っております。そこをこれからどうやって生かしていくかということを考えていきたいと思っております。  御清聴ありがとうございました。 7: ◯委員長  大変ありがとうございました。  それでは、委員の皆様から質問等がございましたらお願いしたいと思いますけれども、何か質問等ございませんでしょうか。  きょうは、倉谷様にも御同席いただいておりますので、難しい質問も多分何でも答えていただけるのではないかなというふうに思っておりますけれども、何か質問がありましたらお願いしたいと思います。 8: ◯花木則彰委員  単純なところから。まず、その生活体験型というのが、国内の旅行者にも、あと海外、特に欧米関係の旅行者にも求められているということで、たしかテレビなどで、高山を自転車でめぐったり、いろいろ民泊みたいな感じのところで泊まったりというのも見たことあるんですけれども、例としてこの島の話と、それから四国の話があったんですけど、ちょっとなかなかイメージがしづらいというか、生活体験型というときに、例えば、仙台なり、あるいは山形なりで、イメージとしてはどういうイメージなのかなというのがどうもまだピンとこないんですけれども、何か例えばこんな感じというのがあればお聞きしたいなと思ったんですけど。 9: ◯小坂典子参考人  まず仙台については、観光の窓口となると考えています。仙台空港を初め、東京との便利なアクセスがあります。そこを窓口として東北地方、例えば山形の生産体験に結びつくような体験、伝統的な祭りですとかそういったものがあると思うのですが、仙台からのお客様を山形のほうへ流していくという二つの役割分担があると思っております。仙台はお客様の窓口という役割、山形については体験をする場所というような役割分担もあるのではないかなと感じております。 10: ◯相沢和紀委員  最初のところ、消費額1人当たり125万円、国内生産の関係でいくと。その中で、訪日外国人の消費額15万円というのは、これは旅行代金というか、航空運賃は入っていないというふうに考えてよろしいんですか。要するに、国内で消費される額ということだけで比べているということからすれば、旅行運賃はなしということで。 11: ◯小坂典子参考人  はい。 12: ◯相沢和紀委員  わかりました。  あともう1点。その後に出てくる関係で、東北、それから、中国、四国、九州というふうに挙げられましたけれども、仙台はそういった意味でアクセスが非常にいいということだというふうに思うんですね。そうした点で言うと、ほかの伸び率が高いところ、中部地方で言えば広島、そして、九州で言えば福岡というふうに出てくると思うんですけれども、そのほかに仙台と似たようなアクセスが充実している都市というふうな部分でどういった都市が挙げられるのか、教えていただければと思います。 13: ◯小坂典子参考人  一つは、地方空港でも外国との直行便をさまざまつくっているところがあると思うんですけれども、例えば、札幌ですとか、そういうような外国とのアクセスが非常に便利なところは、今の文脈からいいますと、比較対象となると思います。 14: ◯高橋卓誠委員  お伺いしたいんですけれども、この体験型のツアー、今、はやっているのは重々承知しているんですけれども、日本として、政府としてのもちろん観光庁としての事業の進み方にもよるとは思うんですけれども、JTB総合研究所さんとしては、そのオリンピック後についてどのようにお考えなのか。例えば体験型からどういうふうに変わっていくと予測されているのか、あればなんですけれども、そういったところをお聞きしたいなと思います。 15: ◯倉谷裕参考人  こちらの質問は私のほうから御回答いたします。  先ほど小坂のほうから、生活体験型というお話をさせていただきましたけれども、やはりここ最近、外国人のリピーターというのがふえてきた中で、非常に日本の文化とか伝統への関心が高まっています。一つこのオリンピックというのが観光の目標のように挙がっておりますけれども、御存じのように最近の円高基調も含めて、大分訪日外国人のほうにもブレーキがかかり始めています。そういった中で本当に日本を訪れてくれる外国人、これはやはり日本にかなり関心の高い方々です。そういう方々をいかに捉えるかということは、観光面から見ても非常に重要ですし、特にそこで生活の糧とされている観光業界の方々、特に今一番潤っていると言われる宿泊産業の方、実は彼らが一番今オリンピック後というものに対して危機感を覚えられています。多少乱暴な言い方をしてしまうと、今ホテルの稼働が非常にいいというお話もありましたけれども、ある意味オリンピック前に建設コストを回収してしまおうというぐらいの勢いで、結果的にそれが宿泊単価に反映されているようなところも見えるかと思います。そういう中でいかに外国人、今後の観光というところで地域にお金を落としてもらうのかという中では、やはり繰り返しになりますけど、生活文化の体験をあらわしていくというのは非常に重要だと思います。  そういった中で、一つのオリンピックという契機の中で、これは意外と余り言われていないんですけれども、オリンピック、まさに間もなくリオも始まりますけれども、東京オリンピックは7月の終わりから8月の半ばぐらい、お盆前ですよね。これは実は日本の、まさに東北もど真ん中ですけれども、夏祭りのシーズンがほとんど当たるんですね。幸い東北の場合は、もう祭りというものがブランド化されていますし、そういったものを見るという観光にもなってますし、また一緒に体験するということもできるかと思います。そういう中で、今非常に外国人の方が求めているのが、まさに体感なんですよね。そういうときにメジャーなお祭りというものの誘引というのは、この東北の場合できていますし、まさにこの仙台が入り口として、また、その最後の出口として成り立っていると思います。その一つの形の派生が、今の六魂祭なるものになっていると思いますし、ある意味、そういうブランドができているところで、では、生活体験どうするのか。ここにまさに仙台と連携する各地域の魅力の発信のチャンスがあるのではないかと思います。  こういったところで、いかに見る祭りとともに体感ができる、生活者目線で地域の方々と交流ができる、こういったことをチャンスとして地域の交流の場をつくっていくことによって、滞在時間がふえる、またそこで外国人の方が訪れる。そこでできた交流をきっかけにまた再度訪れる。そんな繰り返しができてくると、結果的に地域を訪れるというよりも、人に会いに来るために来るような形になりますよね。それが結果的には仙台を軸とした東北との観光の一つのかかわりになってくるでしょうし、実はこういうことが、もう気づいているところは今から準備されていますし、逆にオリンピックをゴールとして考えているところでは、その先がない状況になっていますから、ある意味4年後を目指した体験型観光というようなものを今からつくっていくことが、結果的にはその先につながっていくのではないかというふうに思います。 16: ◯高橋卓誠委員  そのつくり方によっては、すぐ終わってしまうか、その後につながっていくかというようなことがあるわけですよね。スパイバーとかの話がありましたけど、やっぱり産業も東北、仙台で、これは山形ですけど、ツーリズムの一つに必要なのかなということは重々わかっているんですけども、もちろん今このお話のとおりなんですね。仙台も今度は観光案内所ができるということで、それを期待しているところなんですけど、またどういった形になるか、これからなんですが、仙台はゲートウェイ都市として存在して、そこからいかに山形、東北に回っていただくか。それにはやはりコンテンツがまだまだ足りないという、情報発信、その情報量がまだまだ足りないという状況でして、そういったところも今後の課題なのかなというのはあるんですけれども、このほか全国、JTB総合研究所さんは、いろいろそういう島のほうとかでやられてきたんですけれども、どれくらいの実績、これ以外にどれくらい全国でコンサルティングをやられているんですか。 17: ◯倉谷裕参考人  私どもは本当に現場重視でやらせていただく関係で、実はきょう私も、さっきまで八幡平のほうにおりまして、この後札幌に飛ぶんですが、ほぼ日々毎日現地のほうにかかわっていくような形で、大体年間、私どもの部だけで30件から40件ぐらいの地域にかかわっています。そういった中で、今御質問あったような産業をどう観光に結びつけるか。まさにこれは地域でどう稼ぐかというところですし、先ほど先生のほうから御質問のあった、仙台と似たような地域。やはり、一つ地域地域にある拠点になる場所と、そのエリアのピンポイントで光る産業をどう結びつけるか。これはまさに観光の切り口ですし、実はそれだけだと本当はおもしろくないんですね。ただの工業製品のプロモーションで終わってしまいます。そこに地域の方々が入る。例えばさっきお話のあった人工蜘蛛の糸がどうすごいのか。確かに技術はすごいかもしれませんけれど、これがでは山形にあるからすごいのかどうかというのは、ちょっと見えてこないですよね。そういうときに、一人頑固おやじがいて、その方がこだわった結果が今だとなれば、それはその人が見えてきますし、仙台で言えば、MICEという大きな核があるわけですので、そこをきっかけに、では仙台から半日、一日で回れる地域にどれくらいおもしろい面があるのか。そういったところとつなぐということが、まさに仙台のできる観光の切り口でしょうし、逆に仙台にボールを投げ込むことが、今回で言えば山形市の役割になるのではないかと思います。例えば仙台に観光に来て、やっぱり何か地元のものを食べて帰りたい。牛タンは食べたと。どうしようかと。1時間、この暑いさなか、きょうは涼しいですけど、東京あたりは三十五、六度ありますので、ただでさえ暑いんですね。やっぱりここで冷やしラーメンを食べて、ちょっとシャンプーして帰ろうかというときに、実は仙台から山形は1時間なんですよということがわかるかどうか。またそこに仙台の方々の懐の広さとして、ほかの地域を自信を持って紹介できるかどうか。そんなちょっとした一言が連携の切り口になるのではないかと思います。  長くなって恐縮ですが、実は東京の駅に今、郵便局のKITTEというところの下に観光案内所があります。こちらも今かなり外国人の方がふえたのですけれども、ここ3年間の間に、大分その観光客が変わったそうです。一つは、やはり外国人です。ただ、外国人そのものも、今東京駅の新幹線のホームを挟んで東と西で変わっているんですね。最近爆買いがおさまってきましたので、またさらに変わるのではないかと思いますけれども、銀座側、八重洲側は、アジア圏の方が多いそうです。質問は、やはり買い物をする場所のお話。一方で丸の内側です。これは外国とつながっている企業さんが非常に多いですから、個人の方、特に欧米系が多いそうです。質問の内容から問い合わせの内容、大分違うんですね。先ほどお話あった、東京と言いながらやはり生活体験の場が見たいということで、今では東京のど真ん中、港区の中にも実は伝統工芸の職人さんがいらっしゃるんですね。そんな方々を集めたパンフレットもできています。そういったものがやはり投げ込めるかどうかというところで情報発信も変わってきますので、まさに仙台という場所が、東北の同じような拠点になるのではないかと思いますし、これはさっき競合先ということで出てきた中国、四国でも同じような形しましたけれども、実は、お客様がまだまだ少ない山陰エリアなども同じようなことを考えているのですが、大阪、東京あたりにどう情報を投げ込むのか。一方で、東京、大阪側としては、その情報を投げ込まれても自信を持って紹介できるかどうかという不安を持たれているんですね。結果的に、案内することは彼らはプロですから、案内はできるんです。ところが、案内したことによって、案内された方々が本当に喜んでもらえるのか。要するに送り込んだ側がしっかり責任を持って受け入れができるのかどうか。そこができないものは、なかなか成就しないという話をされるんですね。ですからやはり近い距離感の中で、例えば山形市さんと仙台市さん、ここで情報共有した上で、仙台から流す情報は、自信を持って紹介できる山形の情報ですとなれば、そこで一つ中継点としての位置づけというのが出てきますし、もう本当に1時間走れば東京から来れる距離というのは、ある意味東京から見た、世界から見た東京のエリアからすると、もうこれは首都圏ですよね。首都圏。たった1時間ですから。だから、やっぱりそこで地域の情報を自信を持って出せるかどうか。そのための連携というのは、今後かなり重要になってくるのではないかと思います。長々とすいません。 18: ◯加藤和彦委員  何点か質問しようと思ったんですけど、ほとんど今答えてもらいましたので、あれなのですけれども、今さまざまな山形との連携もそうですけれども、さまざま今、仙山カレッジなりいろいろと情報なりのいろんなやり方をやっていると思う。たしか小坂さんも先月でしたか、仙山カレッジに出られたという話を聞きましたけれども、その中での課題というか、今後やっていきたいということが何点かあったと思うんですけれど、それを具体的に教えてもらえればと思っています。 19: ◯小坂典子参考人  この間の6月18日の仙山カレッジでは、やはり山形から、山形には仙台が必要であるということが強く述べられていました。以前から民間ベースでは商工会ですとか、そちらのつながりは非常に強かったのですが、行政でつながっていることがなかったのですね。それを今回、連携していくということを市長同士で合意をしたということで、これから仙台に求めることとしては、やはり窓口となって、人を呼んでくるところ。そこから山形へ人を流してもらいたいというところが非常に強くうかがえました。山形の魅力を引き出していくためには、やはり仙台が必要であるということ。実際、山形も、ライバル視は昔からしていたということなんですが、やはり今この時代で、仙台の力がなければ山形はやっていけないということは、強く述べていました。 20: ◯佐藤正昭委員  今、仙台市議会は、以前から山形市、福島市と3市議会連携、これが3市連携に発展したという歴史があって、我々もそういう点ではそういうことを大切にしてきているんですよ。しかしながら、今の現状というのは、山形から熱いアプローチがあるんだけれども、なかなか仙台側がそれに応え切れていないという、そういう状況なのかなと思うんですよ。ここの温度差というのをいかに議会が解消してやれるかというか、そういうのがあるとこの次に進むのかなと。  先ほど言われたように、まさに仙台が今まではダム機能だった。それをハブ機能にしなきゃだめなんですよね。ダムで自分のところにためるだけではなく、そこから出してやって、ハブになっていくということが必要なんだろうなと思うんですよ。そのために我々が何をしていったらいいのか。やっぱり情報の共有が必要だと思うんですよね。それこそ都市間の連携が必要だろうし、我々は、都市間の連携をやりたくて議会間の連携をしたわけですから、そして、我々は、皆様も御承知のとおり、タイの物産展なんかで山形市議会も誘って、福島市議会も誘って、そうやって我々は先駆的にやってきた自負もあるんです。  しかしながら、そういう中でもう一つ拡大を、これから密接な拡大をしていかなければいけないのかなと思うんですけど、ちょっと一つ質問があるんですけれども、オリンピック以降は、当然、今一番の問題というのは、この業界、やっぱり休日の分散化だと思うんですよね。やっぱり同じ祭りのときだけ、お盆とか、年末年始とか、みんな高いときにしか行けなくて、ハワイなんか行こうと思ったら60万円ですよ。年末年始ね。もうそんなのなかなか行けないということなので、こういうのをいかに国と連携をしながらうまく分散させて、みんながある程度安価に観光ができるようにしてやれば、交流人口が回ってくれるのかなと思うのが一つと、それが、多分それができないから、今介護とか保育士だとかと同じように旅行業界、特にホテルとか旅館というのの人件費、給料が低いというのが、これも問題だと思うんですね。この辺を解消していかないと、いい人材も集まらないだろうし、おもしろい取り組みもできないのかなと思うので、国や行政とも連携しながらそうやっていかなきゃいけないのかなと思ったり、あとは、我々旅行に行くのは、本当に人に会いに行くというのと、その空気に触れるというそういうのが我々の旅になってますよね。そういうのをいかに引き出していくかだと思うんですけれど、その引き出し方のヒントというかそういうものがあれば、ぜひ教えていただきたいなと思います。 21: ◯小坂典子参考人  3点御質問をいただいたのですけれども、まず最初の2点に関しては、倉谷のほうから後ほど話しさせていただこうかなと思いますが、最後の魅力、生活の引き出し方というところですけれども、今、先生からもいただいたように、やはり人とのかかわりをどうやってつくっていくかというところが、根本の問題になると思っております。現在、インバウンドのお客様たちも、民泊を初めとしてそういったような暮らしを求めているんですね。そこの人との交流というのを求めておりまして、どうやって伝えていくか、それをどうやって体験していただくかというところになるかとは思うんですけれども、例えば、山形、仙台の資源、観光資源一つをとりましても、それ一つをただ物として伝えるのではなく、その生産体系ですとか、その背後にある人の知恵、工夫、また、どうやってつくられてきているのかというのを、きちんとインタープリテーションしてあげる、解説をしてあげる、その解説を付加してあげることが今必要なのではないかと思っています。  個人のお客様が多い中で、そういう解説をするということ、ガイドの仕事のようなことは難しいかとは思うんですけれども、それを受け入れた人たち、その着地の人たちそれぞれが説明をできるようになるということが必要だと思っています。例えば一つの個店、お店の商店の方にしても、お客様から商品を買ってもらったときに、その商品の成り立ちですとかその背景、なぜここにあるのかということを一緒に伝えるということも一つの方法だと思っております。その資源を磨くというよりも資源の付加、その背後にあるものを磨いていく、それを引き出していくということが必要なのではないかなと思います。 22: ◯倉谷裕参考人  それでは残り二つ。休日分散の件ですけれども、これは一つは働き方にもあると思うんですよね。大分フレックスになったとは言いながら、なかなかやはり9時、5時で会社に行って、全てを完結しなきゃいけないというジレンマもありますし、そういう中では比較的私たちは流動的な働き方をしているほうなので、よく内部でも話をするんですけれども、本当に考え方によってはパソコン1台でできる仕事は大分ふえてきましたので、そういったものを地域に呼び込むことによって、軸足が今まで一つだったのが二つになりますよね。その2地域ということをうまく移動することによって、観光のきっかけにもなるでしょうし、ある意味2地域のうちの、例えば東京と仙台を往復していく中で、たまたま週末が仙台で終わってしまったとなれば、そのまま滞在して観光もできるんじゃないかとか。逆に休みをとって、月曜日はもう一日こちらで休んでいくとか、そんなことが、自由度が増してくれば、やはり結果的にはそれが分散につながっていくと思いますし、先ほど先生おっしゃられたように、業種によっては曜日で大分休みの日が変わってきますので、そういったところに対しての、既に民間レベルでやっているような施設もありますけれども、火曜日、水曜日は、そういった日が休みの業界の方に対してのサービスを少しよくするとか、そんな形で割と分散はしていけるのではないかと思います。  ただ、一番の問題は、日本人の休日の体系がなかなか長期にならないというところです。先ほどの資料の中にはなかったのですけれども、台湾の方が約4日、5日で旅行で訪れる中で、欧米の方というのは2週間、3週間なんですね。休み方が全然違うと。そういった方々と休みの感覚を話し合っても、なかなか接点が見えないくらいに感覚が違いますし、その辺を日本側が受け入れられるような体制をつくるとなると、なかなか今の社会では難しいので、そういう意味ではやはり拠点をうまく地域に持ってきて、そこで両方をうまくわたるような仕組みになっていくと、それが結果的にCCRCにつながったりとかそんなところにもいくでしょうし、やはり交流人口の拡大という中でも、半分仕事をうまく結びつけながら、半分働き、半分遊ぶみたいなことが、今の若者などは比較的そういう感覚に近いですから、そういう受け皿を広げていくことも地方にとってはチャンスになるのではないかというふうに思います。  観光業界の人件費ですね。これは本当に御指摘のとおりで、非常に悩ましい問題です。実は私どもでも昨年その辺の調査をさせてもらったのですけれども、本当に宿泊産業の方を含めて観光に携わる方々の給与というのは、非常に大変厳しい状況になっています。これは、なかなか悩ましい問題なんですけれども、やはり旅館を含めてホテルもそうですし、施設を先に建ててしまって、そこで大きな夢と同時に大きな負債を抱えて生活しなければいけないというこの悩ましい産業の中で、本当に背負った借金がなくなったころにはまた施設を改修しなければいけないという、その繰り返しなんですよね。まさに広域連携というのが今後必要になる中の一つとして、地域としての絵をどのように実現するか、そのサポートを誰が行うのか。まさに先生方のお力が必要なんだと思いますけれども、旅館の方々単体に銀行がお金を貸すか。今現状としては、その中では難しいんですね。ただ、地域が描かなければいけない未来というものは全体の中でやっていくものですから、そこに中心になる宿泊施設がぼろぼろでは、やはりなかなかお客さんを呼んでこれない。そういう中で、やはり今回のDMOもそうですし、以前あった観光圏等々、いずれにしても広域連携の中で地域の未来をどう描くかというところに対してその保証を、まさにその実施計画を担保に地域にしっかりお金を回させるような、まさにプロジェクトファイナンスそのものをどのように描いていくのか。この後押しをすることによって、お金の流れというのも出てきますし、自主財源の確保というのも未来が見えてきますから、そのあたりによって、そこでしっかり集まったお金をちゃんとその地域の観光産業の方々に還元をするような仕組みをつくることによって給料そのものに反映することができますから。現状やはり民間の方々が一生懸命頑張っても、稼いだ分は借金に回ってしまうという、借金の返済に回ってしまうというのが現状なんですね。ですから、ここを変えない限り、やっぱり地域にお金が回るというのはなかなかきれいごとにはいかないのが現状ですから、まさにそこをこの観光連携の中で出てくる収益というもので社会的な貢献に充てて、それをしっかり利益に反映させると。その仕組みをつくることが、まさにDMOの基本ではないかというふうに思います。 23: ◯橋本啓一委員  いろいろ御説明をいただきましたけど、まず、一番最初にお話をされた、観光客の誘致によって定住人口の減少をカバーすることができるというような考え方というのは、私今まで余り聞いたことがなったんですけれども、本市も大都市ではありますけれども、今後人口減少の時代を迎えるわけですが、こういった考えというのは、具体的にどういうふうに、経済的な効果のことを言っているのか、地域的なコミュニティーの活性化とかのことをおっしゃっているのか、その辺どういうふうにお考えになっているか、御説明いただきたいと思います。 24: ◯小坂典子参考人  まずこちらの数値につきましては、経済的な面での数値になっております。経済的に定住人口1人当たりの年間消費額をこちらの外国人ですと9人、宿泊の観光客ですと27人、日帰りですと84人と単純計算で換算したものになっております。  一方で、交流人口をふやすことで、住民のコミュニティーも活性化させることができると考えています。こちらの数値ではないのですけれども、例えば生活体験型の観光、この土地で築かれてきた生活文化というものを資源として、そちらを用いて観光客の方々を呼んできて、それが外部の視点から評価してもらうことによって、住民の意識としては、自分たちの土地に対する誇りですとかそういうものが醸成されていきます。そのことによって、その引き継がれてきた伝統文化も検証されていくような仕組みが観光によってできていきます。その伝統文化というものが、住民たちを今まで結びつけていた一つの要素、コンテンツだと思っていますので、この一つの伝統文化をもとに住民がかかわってきたというものを将来に継承していくことによって、コミュニティーについても続いていくと言えます。  先ほどお話ししました粟島がまさにその例でして、粟島では地域の民謡というものがもう失われつつありました。楽譜というものが残されていませんでして、歌える方も75歳以上のおばあちゃん2人だけという状況にあった中、その歌というものを、地域に引き継がれてきた歌を合唱として、先ほども言いましたように二つの集落合同で合唱団を結成して、歌を通じてコミュニティーの回復、維持というものを行った事例です。  もう一つは、私がかかわっている島で礼文島という北海道の島があるのですが、そちらでも今集落での人口流出が激しく、地域でかかわってきた婦人会ですとか青年会というものもかかわりの場が失われつつあります。そこを観光を用いて維持していくということができます。こちらでもお祭りが軸になっているんですけれども、祭りは、年に1回、集落の人たちみんなが集まる場でした。それが今失われつつある中、それを観光利用することによって、その祭りが維持され、そのことによってコミュニティーも維持されていくということも、観光の効果として一つ挙げられると思います。 25: ◯橋本啓一委員  いろいろ各委員からお尋ねがありましたけど、私ももう一度基本的なことをお尋ねしたいんですけれども、東京を中心に関東の訪日外国人の観光客が伸びない中で、それは宿泊場所の確保等いろいろ困難な課題があると。それ以外のところで中部を初めとする中国、四国、九州が大きな伸びを見せているという話がありました。そういった訪日の方々が、それぞれ欧米とアジアとおっしゃいましたよね。日本食だったり日本の文化だったり、自然、景勝地、ショッピングと。絶対的な数自体は、東北はそういった地域より、もしかしたら少ないのかもしれませんけれども、なかなか東北が思ったように伸びていないと。そして、伸びていないけれども余地はありますよというさっき御説明をいただいたんですけれども、もう仙台市自身も、随分前からリピーターづくりであったり次回の訪問地の候補地ということでいろいろ検討はしてきたけれども、まだ具体的な数字に他都市ほど伸びていないと。こういったことについて、もう一回言いますけれども、日本食も自然、景勝地もショッピングも、決してないわけではないこの東北に、そういった方々、国内外の方々にもう一度こちらのほうに目を向けていただくにはどういったことをさらに進めていけばよいのかというのをもう一度聞かせていただきたいと思うのですけど。 26: ◯小坂典子参考人  今、先生がおっしゃいましたように、東北、仙台にはさまざまな魅力、資源があり、それでプロモーションも行ってきたと存じておりますが、これから今必要なこととしても、やはりプロモーションが必要なのではないかなと考えています。いかに誘客したい対象に対して、日常での接点をつくってかいくということが非常に重要なのではないかなと思っております。  一つの事例として、台湾と北海道の関係があるんですけれども、北海道では、北海道のテレビ局が台湾で北海道の魅力を発信するようなテレビ番組をずっと放送してきました。それを通じて台湾人の方々が、北海道に対して愛着がわいたりですとか、別の場所ではなく北海道を非常に好きになってもらえるという現象が今起きていまして、今でも北海道には台湾のお客様が非常に多く来ています。そのため、東北についても、その魅力というのを来てほしい方々にどういうふうに接点をふやしていくか、日常で触れる、東北の魅力に触れる回数をふやしていくかということも一つ重要なのではないかなと思います。  単純かとは思いますが、例えば、SNSを活用したりですとか、最近スーパーブロガーというものも出てきていると思うんですけれども、そのブロガーを誘致して、東北の魅力を自国で発信してもらうということも一つ方法として、インバウンドに関してはあるのではないかなと思っております。 27: ◯倉谷裕参考人  お時間もあるでしょうから手短にお話ししますけれども、先ほど事例として紹介させてもらった沖縄のうるまの闘牛が、まさに私たち取り組んだ一つの事例なんですけれども、いかに関心がない人たちに関心を持たせるかというところだと思うんですね。意外と観光の場合、そういう単純なところが大事だったりしまして、実は、東北がほかの地域に比べて決して観光素材が劣っているわけではないんですね。本当に知られてないんですね。これはもう皆さんがほかの地域見てもそうだと思うんですけれども、アメリカと言われてニューヨークとかワシントンの場所は何となく指させるかもしれませんけど、地方都市になると非常に厳しくなりますよね。これはほかの地域も同じことなんですよね。ですから、日本の中で、では東北ってどこなんだろうと。今非常に便利なツールありますから、グーグルか何かで東北というふうに入れると出てくると思うんですけどね。例えば、同じように関心度が低い山陰。山陰と入れると何が出てくるかというと、コロンビアの歌手が出てくるんですね。サニンとかいう方が。それぐらい世界で見ると、要するに日本の当たり前が当たり前ではないんですね。ですから、もしかすると東北という名前よりも、やはり仙台のほうが当然知名度高いですし、ではその仙台から近いのか、東北のエリアのどこなのかという伝え方よりも、むしろ、まさにそこで仙台というものが生きてくるんですけれども、仙台から1時間圏内とか、仙台から車で20分とか、それが世界に対する発信の方法だと思うんですね。ですから、そういった形であれば、まさに東北の玄関口である仙台は、もう新幹線で1時間ですよね。それが実は余り知られていない。やっぱりこういうことをどう伝えるかというところだと思いますので、本当に入り口と、あとはその中身のつなぎ方、このあたりが今後のこの東北の一番の肝だと思います。 28: ◯委員長  ほかにございますでしょうか。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 29: ◯委員長  なければ、時間を越えておりますので、以上で終了させていただきたいと思います。  小坂様、倉谷様、本日は大変貴重なお話をいただきまして、まことにありがとうございました。皆さん、拍手でお願いしたいと思います。今後、当委員会の調査を進める上で大変参考になりました。どうもありがとうございました。  それでは、小坂様、倉谷様が退席をされますので、皆様、改めまして拍手でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。             〔参考人 小坂典子、倉谷裕退室〕 30: ◯委員長  次に、次回以降の委員会についてであります。  初めに、本委員会の中間報告の取り扱いについて御相談をさせていただきたいと思います。当委員会では、昨年11月に第1回委員会を開催しまして、テーマや調査項目等を策定してきたところでございます。以降、1月に尾道市、今治市への視察や、委員相互の意見交換などを通じまして調査等を行ってきたところですが、現時点におきましては、委員相互による議論が十分に深まっていないものと思っております。つきましては、副委員長とも御相談をいたしまして、中間報告は行わないこととしたいと思っておりますが、これに御異議はございませんでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 31: ◯委員長  それではそのようにさせていただきたいと思っております。  次に、次回の委員会についてでございますが、年間の開催日程に基づきまして7月29日金曜日、午後1時からの開催を考えております。内容につきましては、当局からの御報告及び本日の有識者からの意見聴取を踏まえての総括的な御意見を含めました委員相互の意見交換を予定しております。7月29日金曜日、午後1時というところでございます。次回の委員会については、このようなことでよろしいでしょうか。午後1時とさせていただきたいと思います。それではそのようにさせていただきたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  以上で予定しておりました日程を終了いたしますが、そのほか皆様から何か御発言等がございましたらお願いいたします。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 32: ◯委員長  なければ、以上で地域経済活性化調査特別委員会を閉会いたします。...