今日は、いつもの鳥獣対策、イノシシの質問はしないのかと言われそうですが、前回までに3度の一般質問で幾つもの要望を行ったことで、狩猟免許費用の補助や箱わなの貸出し、
有害鳥獣捕獲報奨金の増額など、あらゆる面での待遇改善を行っていただきました。この場をお借りして、お礼申し上げます。
このようなことから、本日は、鳥獣対策以外の市政や地域の課題を中心に、御支援いただいている皆様の声を交えながら質問させていただきます。
本日も予定どおり緊張しておりますが、精いっぱい頑張っていきますので、温かく見守っていただくことをお願い申し上げ、早速ではありますが、質問通告に沿って一般質問に入りたいと思います。
まず、1問目でございます。
森林環境譲与税の活用についてでございます。
森林環境税、
森林環境譲与税を御存じでしょうか。
地球温暖化防止のための
森林吸収源対策に関する財源の確保について、長期間にわたり政府での検討や関係者による働きかけが続けられ、2015年の
地球温暖化防止に向けた新たな国際枠組みであるパリ協定の採択や、昨今の山地災害の激甚化等による国民の森林への期待の高まりを受け、2019年に
森林環境譲与税が創設されました。
ちょうど私が市議会議員になった直後に創設されたため、令和元年第3回定例会で初登壇した際に、本市に配分された初年度予算4,200万円の
森林環境譲与税の使用用途について質問させていただいたところ、立田山の遊歩道の整備、林業の人材育成などに活用していくとの答弁をいただきました。
そのような中、今年3月、森林環境税 とっても余る?との新聞記事がありました。2019年、2020年の2年間に各市町村へ総額500億円が配られておりますが、実際使われたのは228億円、全体の54%が使い残しとなり、基金に積み立てられているとのことでした。
地球温暖化防止のための
森林吸収源対策に関する財源の確保が必要だと取り組んだ割には、各市町村の体制が手薄で使い道が見つけられない、お金の使い道が木材利用などに限られているなど、残念な言い訳が並んでおりました。
今後の計画では、2024年には、皆様の収入から森林環境税として約6,000万人を対象に1人当たり年間1,000円徴収することになっており、現在の状況であれば減額徴収すべきと考えますが、皆さん、いかがでしょうか。
そこで、お尋ねいたします。
2019年、2020年度に配られた
森林環境譲与税の熊本県及び熊本市の使用状況を教えてください。
森林環境譲与税の本市の具体的な活用事例について教えてください。
以上2点につきまして、農水局長、御答弁をお願いします。
〔
大塚裕一農水局長 登壇〕
◎大塚裕一 農水局長 お答えします。
まず、熊本県における
森林環境譲与税の使用状況は、2019年度の譲与額約1億900万円に対し、事業化額は約8,500万円で事業化率は78%であります。2020年度は、譲与額約1億6,300万円に対し、事業化額は約9,400万円で事業化率は58%と聞いています。
また、本市の使用状況ですが、2019年度の譲与額約4,200万円に対し、事業化額は約3,600万円で事業化率は86%であります。2020年度は、譲与税の配分が追加されたため、譲与額約9,000万円に対し、事業化額は約6,400万円で事業化率は71%となっています。
本市においては、決算に伴う執行残等をいっとき、基金に積み立てた後、翌年度の
森林整備事業の財源に充当して活用しています。
次に、本市の具体的な活用事例についてお答えします。
これまでに本市では、税の目的である森林整備の促進をするため、主に森林所有者に対する森林の管理についての意向調査や、間伐等の整備の必要性を調べる民有林の現地調査等に活用しています。
また、意向調査や現地調査の結果、間伐等の整備が必要と判断した民有林については、森林所有者の同意を取得し、市が所有者に代わって間伐等の施業を実施することとしており、令和3年度は、民有林約4ヘクタールの間伐を実施いたしました。そのほか、令和4年春に開催しました
全国都市緑化くまもとフェアのメイン会場の1つであります立田山や、
パートナー会場であります雁回山の遊歩道整備等にも活用しております。
〔6番
島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 熊本県、熊本市とも2019年度は8割程度、2020年度は6割〜7割程度の活用でしたが、積立てしていた基金は、今年開催された
全国都市緑化くまもとフェアで活用されたことは、とても有効的だったと感じます。今後も本市の公園山道の整備など、新たな場所はたくさんありますので、ぜひ調査をどんどん行っていただき、整備に取り組んでいただきたいと思います。
本市の取組はある程度順調に推移しているということでしたが、熊本県内の各市町村の使用状況はいかがでしょうか。熊本市内よりも、その他の市町村が公園の山道の整備や林業の人材育成など、より多くの活用ができそうだと考えますが、いかがでしょうか。
そこで、お尋ねいたします。
本市以外の市町村の使用状況を教えてください。もしもうまく活用できていない市町村がある場合、熊本県のリーダー都市としての取組などがあれば教えてください。
以上2点を農水局長、御答弁をお願いします。
〔
大塚裕一農水局長 登壇〕
◎大塚裕一 農水局長 お答えします。
本市以外の市町村の使用状況について、熊本県から提供していただいた情報を基に本市で試算いたしました。その結果、本市を除く県内市町村の使用状況は、2019年度の譲与額約3億9,000万円に対し、事業化額は約1億8,000万円で事業化率は46%でありました。2020年度は譲与額約8億4,000万円に対し、事業化額は約3億円で事業化率は36%となっています。
県内他市町村では、本市と同様に森林整備を促進するための森林所有者への意向調査や現地調査のほか、森林作業道等の開設や担い手対策、
木造公共建築物の整備等に活用されています。一方、一部の市町村では、職員や林業の担い手が不足している等の理由から必要な森林整備に着手できず、
森林環境譲与税が十分活用できていない状況が見られると県から聞いております。
本市のこれまでの森林整備の取組については、国が作成した
森林環境譲与税の取組事例集に掲載されております。また、この制度が開始された早い時期から民有林整備を実施した実績は、県内の先行事例として一定の評価を得ているものと考えております。
今後も他都市の優良事例等を参考にしながら、さらなる森林整備の推進をはじめ、
森林環境譲与税の活用に努めるとともに、県等と連携し本市の取組を紹介するなど、他の市町村の
森林環境譲与税の活用に寄与する取組を実施してまいる考えです。
〔6番
島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 確かに新しく創設されたばかりですし、職員や林業の担い手が不足しているので必要な森林整備に着手できておらず、
森林環境譲与税が活用できていない状況は仕方がないかもしれません。
しかし、2024年からは、今後必要だから森林環境税として徴収することになっておりますし、徴収するからには、
地球温暖化防止のための
森林吸収源対策に関する財源としてしっかり活用いただきたいと思います。
税金とは、徴収してから使用用途を考えるのではなく、使用目的を決めてから税金として徴収するものだと認識しております。そのようなことをしっかり考えていただき、今後大切な税金を活用いただくことをお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。
2問目は、自転車利用のマナー、安全対策についてでございます。
気軽にちょっとそこまで行けるのは、やはり自転車ではないでしょうか。私は、どこに行くにも自転車で会社への通勤や子供たちの部活動の応援などに多く利用しておりました。ここ最近は、行動範囲が広がったことにより自動車での移動が多くなりました。地域活動をしていますと、非常に狭い道を通ることが多く、安全速度を心がけながら、離合するためにできる限り左側に寄せて、自転車と接触しないように注意し走行しています。
しかし、そのようなときに、前方から来る自転車が、本来なら左側走行なので左側によけられると安心するのですが、逆によけられることも多く、とても危険です。学生だけではなく、小さな子供や高齢者の方も安全確認が不十分で、突然飛び出してこられるケースも少なくありません。
自転車事故でも、小学校の児童が女性をはねて、被害者が寝たきり状態になられ、多額の保険対応になっているニュースも報道されていました。気軽にちょっとそこまで行ける自転車も、一歩間違えば加害者となり、人生を大きく変えることになります。そのような加害者を増やさないためには、就学前から自転車の安全な運転技術を高める必要があると考えます。
以前は、小学校中学年になると自転車の安全教室があり、自分たちの自転車を持っていき、学校のグラウンドで自転車の乗り方を教えてもらった上で公道に出ていった思い出があります。
ここ最近の状況が分からなかったので、知り合いにお聞きしたところ、安全教室はあり、資料と映像を活用して体育館などで集合研修を開催されていましたが、最近は
新型コロナウイルス感染症の影響により、ユーチューブなどでの研修を開催しているとのことでした。
研修方法はそれぞれですが、実際乗車することで、なぜこうしないと危ないのか理解できると考えるのは私だけでしょうか。
大阪府では、自転車事故が多いということで
自転車実技教室が開催されているというニュースが報道されていましたが、本市では実技教室を開催するなどの計画はありませんか。
文化市民局長、御答弁をお願いします。
〔
横田健一文化市民局長 登壇〕
◎横田健一
文化市民局長 本市が実施しています小学校中学年を対象としました自転車教室につきましては、現在、
新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、ユーチューブを活用した動画による教室を実施しているところでございます。
実技を加えた教室は、自転車利用者として必要な技能と知識の習得だけでなく、危険を予測し、安全に通行する能力を高めるためにも重要なことと認識いたしております。
今後は、
新型コロナウイルス感染症の感染状況を注視しながら、動画による教室と併せまして、安全を意識した自転車運転を体験させることで児童が危険に対する気づきを得ることができるよう、工夫を凝らし効果的な教室となるよう検討してまいります。
〔6番
島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 コロナ禍でもあり、なかなか集合しての実技研修は難しいとは思いますが、実技体験や行動事例による
グループディスカッションなど、みんなで体験し考える学習も大切だと考えますので、今後の取組に生かしていただきたいと思います。
知識や技術を向上させたら大丈夫ということではありません。交通事故は相手の行動があってこそ発生するものです。万が一のことを考えると、自動車と同じく保険加入が必要不可欠です。先ほどお話しした小学生の児童が女性をはねて、被害者が寝たきり状態になられ、多額の補償問題になったケースも、保険加入がなければほとんどの方が対応することはできません。
5月10日の新聞記事に、自転車保険の認知度、
熊本全国トップ 加入率も急上昇4位と掲載されていました。昨年10月、熊本県は、保険加入を条例改正で義務化しました。150万円の予算を組んで啓発運動をされたことにより、ある一定の成果が出たと記載がされておりました。非常によい取組だなと感じました。
そこで、本市の状況についてお尋ねいたします。
本市の保険の加入率はどれぐらいなのか、教えてください。昨年から本市と県で連携した取組、また、今後のさらなる加入促進に向けた取組などがありましたら、教えてください。
都市建設局長、御答弁をお願いします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉
都市建設局長 本市の保険加入率と加入促進に向けた取組についてお答えいたします。
本市の
自転車保険加入率は、昨年度実施いたしました第7次
総合計画市民アンケートにおきまして、日常的に自転車を利用すると回答された582人中、69.1%の方が自転車保険に加入していると回答されており、前年度と比べて8.1%上昇いたしております。
次に、熊本県と連携した取組といたしましては、これまでテレビやSNS、ホームページ、市政だより等による周知をはじめ、ポスターやチラシを市有施設や駐輪場、
自転車販売店等に配布、掲示し、さらには中学校、高校を通じた保護者への啓発等を行っております。
今年度はこれらに加え、本市と包括連携協定を結んでいただいておりますコンビニエンスストアと連携した周知活動やPRイベントの企画、SNS発信用のPR動画や、街頭啓発用ののぼりの作製、さらには
新型コロナウイルス感染症の影響で動画により実施しております児童・生徒を対象にした安全教室につきましても、状況を見ながら再開することとしておりまして、今後もより広く市民の皆様に伝わるよう工夫を重ねながら、自転車保険への加入促進に取り組んでまいります。
〔6番
島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 本市のみでも自転車保険の加入率が増加していること、また、加入促進の広報活動にも十二分に取り組んでいただいているということは、非常にうれしく思っております。今後もさらに加入率が向上していくように願っております。
交通事故時の被害者は、やはり歩行者や自転車が多いのですが、死亡率で見てみると自転車が非常に高いです。2010年前半は10%台で減少傾向でしたが、2019年には21.1%、2020年は21.9%と連続して増加傾向になっております。そして、死亡されているほとんどの方がヘルメット未着用とのことでした。
前回の定例会でも、市の職員の方へ自転車運転時の
ヘルメット着用が提案されておりましたが、ヘルメットの着用はどこまで推奨されるのでしょうか。小学生や中学生は自転車運転時にヘルメットを着用しているのは見かけますが、高校生になりますと着用されている方はほとんど見ませんし、社会人の方は、マウンテンバイクやロードバイクの運転時は着用されているのを見かけますが、その他の自転車の方はほとんど未着用です。
また、最近の学生に多いのが、自転車運転時の
イヤホン利用です。
スマートフォンでダウンロードした音楽を
ブルートゥース接続で聞いている方も非常に多くなりました。片耳だから大丈夫だろうと思っていましたが、集中力が薄れ、他の歩行者や自転車に気づかれないこともよく見かけます。その中でも危険性が最も高いのは、
スマートフォンを操作しながらの自転車運転です。初めの頃は器用だなと感心しておりましたが、最近はそこまでやるのかと、見ている方がどきどきしております。緊急であれば自転車を降り、落ち着いて対応すべきだと思いますが、皆さんの考えはいかがでしょうか。
さきにお話ししたヘルメットや
イヤホン利用は、なかなか条例などで義務化するのは難しいと思いますが、あらゆる面での努力取組、また、注意喚起は必要だと考えます。特に自転車運転の
スマートフォン操作は絶対やめさせるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
そこで、お尋ねいたします。
これまで述べてまいりました
交通安全マナー及び安全対策について、大西市長の思いや考えをお願いします。
また、
交通安全マナー及び安全対策についての本市の取組、今後の新たな取組等がありましたら、教えてください。
都市建設局長、御答弁をお願いします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市の自転車運転中の交通事故は、近年減少傾向にはありますものの、一時不停止など、自転車の法令違反が認められる事故が約4割と高い割合となっております。
実は、私も中学生の頃、友人と自転車で走行中に接触、転倒いたしまして、頭を打って救急車で病院に運ばれ、入院したという経験がございます。幸い大事には至らなかったんですけれども、このような経験から、かねてより
スマートフォンの操作、あるいは無灯火走行の自転車等を見るたびに、大変危険性を感じておりまして、自転車も車両として運転している意識を持つことが必要であると痛感しておりました。
そこで、3月に条例を改正いたしまして、交通ルールの遵守やマナーの向上に加え、自転車保険の加入義務や
ヘルメット着用に関する規定を設け、熊本県警察や関係機関等と連携いたしまして、安全対策の強化を図っていくこととしております。
自転車は、環境に優しく手軽な交通手段でありまして、近年の健康志向や環境意識の高まり、
新型コロナウイルス感染症の影響による行動変容などによりまして、さらに利用ニーズが高まっております。
このような環境の変化を踏まえまして、昨年3月に策定いたしました
自転車活用推進計画では、企業と連携した自転車通勤の促進や、
シェアサイクル実証実験等、環境負荷の低減や健康増進にもつながる取組を推進することとしておりまして、安全対策や利用環境の整備と併せまして、自転車の魅力も発信していくことで、誰もが安全で、快適に自転車を利用できるまちづくりの実現を目指してまいりたいと考えております。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉
都市建設局長 交通安全マナー及び安全対策についての本市の取組についてお答えいたします。
自転車の交通マナーや安全対策につきましては、これまでも文化市民局や教育委員会と連携して、交通事故防止に向けた街頭での安全指導や押しチャリの啓発を進めますとともに、児童・生徒に向けて、自転車の安全利用に関する動画を配信するなど安全教育に努めてまいりました。
本年度はこれらに加えまして、新たに熊本県警察と連携いたしまして、砂取小学校を
自転車安全モデル校として指定し、自転車に関する総合学習の中で、子供目線による
ヒヤリハット地図の作成に取り組んでおります。また、10月からの改正条例の施行に先駆けまして、
ヘルメット着用促進の取組として、企業や市民の皆様からモニターを募集したところでございまして、そのモニターの皆様から、着用に向けた課題やアイデア等を伺うことにいたしております。
さらには、SNS等での情報発信に向けた動画の制作やPRイベントの開催、再開を予定しております安全教室では、児童たちが体験しながら学習できる内容とするなど、引き続き、交通ルールの遵守やマナー向上、安全対策の強化に取り組んでまいります。
〔6番
島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 大西市長自身の体験を交えて御答弁いただき、自転車の運転マナーや安全対策に対する熱い気持ちが伝わってまいりました。また、本市の安全意識の向上に向けたいろいろな取組に御尽力いただいていることを知り、今後の交通事故の減少やマナー向上につながってほしいと思ったところです。
今年4月からサービス開始されましたシェアサイクルチャリチャリも、利用者が徐々に増えてきており、利用しやすいとの意見も聞こえてきております。たくさんの市民の皆様が気軽に安全にマナーを守って自転車を利用していただくために、今後も安全第一で取り組んでいただくことをお願いしまして、次の質問に移ります。
次は、公文書の保管等検討についてでございます。
私たち市民連合は、各常任委員会へ1名から2名ずつ出席しており、それぞれの委員会の内容は情報共有をしております。いろいろな委員会での取組について確認しておりましたら、令和4年第1回定例会の総務委員会で、公文書の
保管等検討支援経費についての文書がありました。
文書を読んでみると、公文書の適切な保管等の在り方検討に係る経費ということで690万円計上されており、現在、約8万箱の文書保存箱が本庁舎や各区役所、出先機関などの様々な場所に保管されているものを、熊本市
公文書管理条例に基づき、集中管理推進に努め、
特定歴史公文書については、適切な保存及び利用を行うために必要な場所に保管しなければならないとの内容でした。
私も以前、企業で働いているときに資料の保管や整備の業務に携わったことがありますが、ただ整理整頓するだけでなく、後で資料を確認する場合のために検索しやすくしておくことも大事であると考えます。
また、収納場所やスペースも新たに費用を投入すれば簡単に決まるのですが、行政も民間も同じ考えで、できるだけコストをかけずに効率的に収納場所やスペースをつくり出すことが重要だと考えます。できれば、本市で所有する施設で現在使っていない施設を有効活用することを優先に考えていただきたいと思います。
そこで、お尋ねいたします。
具体的な取組などは今から検討されていくと思いますが、現時点での検討状況を教えてください。また、今回の検討を行っていく中で重要視されていることがありましたら、教えてください。
総務局長、御答弁をお願いします。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 公文書は、本市の諸活動及び歴史的事実を記録した市民共有の知的資源として、市民の皆様方が主体的に利用し得るものであるということから、適切な環境の下で保存され、十分に利活用されることが重要であると考えております。
このため、熊本市
公文書等管理委員会へ公文書の集中管理や
特定歴史公文書の適切な保存及び市民利用の在り方などについて諮問したところであり、加えまして、公文書の保存、利用に必要な条件整理やコスト比較等についても調査をしているところでございます。
今後、答申や調査結果を踏まえまして、
特定歴史公文書をはじめ、全ての公文書を適切に保存できる環境整備やデジタル技術を活用した電子化を推進し、市民の皆様の利便性の向上を図ってまいります。
〔6番
島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 答弁でもありましたとおり、公文書は市民共有の知的財産、知的資源であり、集中管理や適切な保存及び市民利用の在り方など検討されることは、よく理解しております。
今後も総務委員会でもあらゆる面で十分検討されていくと思いますが、もしも条件に合致するものがあれば、現在使っていない本市施設を有効活用することを優先的に考えていただくこと、また、他都市の好事例等がありましたら参考に進めていただくことをお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。
次は、安全な歩道整備についてでございます。
歩道とは、小さい子供から高齢者、全ての方が安全に通行できる道路だと認識しております。私も以前からダイエットの一環でウオーキングに取り組んでいることもあり、熊本地震以降は、歩道の危険箇所など定期的に確認し、土木センターへ改善のお願いをしているところでございます。特に子供たちの通学路は、他の箇所よりも優先的に対応いただくなど、非常に感謝しているところでございます。
そのような中、私の活動拠点である西区上高橋から高橋稲荷神社に渡る橋があります。正式名称は、高橋稲荷大橋、地域の皆さんは、赤橋と呼んでいます。高橋稲荷神社のすぐ近くにあり、昔から地域のシンボル的な橋で外観もおしゃれで、4月初旬〜5月の連休の間は、川の上にたくさんのこいのぼりを泳がせるのが恒例行事となっております。
◎早野貴志 環境局長 半導体工場では多くの地下水を利用することから、地下水採取については、熊本県地下水保全条例に基づき、採取の許可が必要となります。そのため、事業者は、地下水採取による周辺の水位低下がないことを事前に確認するとともに、許可申請の際には、節水や循環利用、涵養などに関する計画も提出することになっております。
TSMCでは、4月の立地協定調印式において、高度な水回収・リサイクルシステムを導入した70%以上の水の循環利用や、地下水採取量の100%以上の地下水涵養などの保全対策に取り組むことを発表されており、現在、県条例に基づく手続が進められていると伺っております。
工場予定地は、本市地下水の重要な涵養域であることから、TSMCの地下水涵養対策などが着実に実施されるよう、熊本県及びくまもと地下水財団と連携し、強く働きかけてまいります。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 地下水の取水ルールと涵養ルールが組み合わさった熊本県地下水保全条例が許可する手続が進められているとの答弁で、安心しました。さらには、涵養事業が単独では不可能な零細企業を支援するくまもと地下水財団との連携も行い、保全に向けて強く働きかけていくという心強い答弁もいただきました。気候変動により世界的な水不足が懸念される中、今後、大量の水を使用する半導体企業をいかに確保していくか、日本の産業界にとりましても大きな課題であります。
地下水を活用する場合、市町村の枠を超えて保全と活用を行う熊本の取組は、国内外で参考になると確信いたします。安心・安全な地下水の確保とさらなる企業の誘致に期待しまして、次の質問に移りたいと思います。
おでかけICカード、旧さくらカードと言った方が、市民の皆様には分かりやすいかと思います。その方向性についてお尋ねいたします。
平成8年に導入されたさくらカードは、現在、おでかけICカードとして、公共交通機関の利用推進により、70歳以上の高齢者並びに障がい者の社会参加を促進する目的の制度であることは、皆様も御承知のとおりであります。
しかしながら、現状では70歳以上の人口は増加しているものの、おでかけICカードの利用件数及び利用金額は減少傾向にあり、その主な要因は、便利な自動車への依存やバス運行本数・路線数の減少、ここ2年以上続くコロナ禍での利用控えが考えられます。その間の高齢者を取り巻く状況は、かなり変化しております。
私が4年前に行った一般質問の答弁では、具体的な制度見直しといたしましては、現在の他都市の制度を参考にいたしますと、所得制限、利用者負担割合の引上げ、あるいは利用上限額の設定、あるいは対象年齢の引上げなどが考えられるところです。市民アンケート調査結果を基に、本事業の在り方について様々な観点から検討を行ってまいりたいと考えておりますと、当時の健康福祉局長は答えられております。
この事業の在り方については、継続審議中と認識しておりますが、その後、令和に入って一度も協議・検討はなされておりません。おでかけICカードが持続可能な制度を維持するためには、在り方を検討しなければならない時期だと判断いたしますが、その方向性について見解をお示しください。
健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 おでかけICカードに関する御質問にお答えいたします。
議員御案内のとおり、これまで、おでかけICカードにつきましては、持続可能性や平等性の課題から、その在り方につきまして外部検討会を設置し、社会参加促進施策全体の中で総合的な検討を行ってきたところでございます。
そのような中、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、高齢者の外出機会が減少し、おでかけICカードの利用も激減しておりますことから、昨年度は、ICカードの利便性向上に向けた検討を行い、今年度より、さくらカードのおでかけICカードへの一本化及び障がい者用カードの市境バス停における自動精算化を実現したところでございます。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 ありがとうございました。
続けて、関連の質問をさせていただきたいと思います。
おでかけICカード事業の負担割合は、本市が5割、本人負担が2割、バス・市電関係の事業者負担が3割の構成となっていましたが、令和2年度、令和3年度につきましては、コロナ禍で利用者が激減している状況のため、事業者負担を3割から2割に引き下げ、本市の負担を5割から6割に引き上げています。
この2年間の本市の負担額をお示しください。また、この負担割合の構成はいつまで続くのか、健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 本市の負担額と負担割合についてお答えいたします。
高齢者分の事業者負担割合につきましては、バス事業者の厳しい経営状況に鑑み、令和2年度及び令和3年度は3割から2割に、令和4年度は1.5割に軽減し、軽減分につきましては、事業の実施主体であります市が負担することとしたところでございます。その結果、市の負担総額は、令和2年度が約3億9,600万円、令和3年度が約4億1,900万円となり、令和4年度につきましては5億1,700万円を見込んでいるところでございます。
今後も、本事業は、高齢者の社会参加促進のみならず、公共交通機関の利用促進や地域経済の活性化などにも一定の効果が期待できますことから、関係部署と連携し、市全体の施策展開を進める中で、負担割合も含め制度の在り方につきまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 ただいまの答弁によりますと、今年度からカードの一本化と障がい者用カードの自動精算化を実現されたとのことでした。利便性向上の取組は評価させていただきます。
私がこの質問をさせていただいた背景には、実質的な借金残高が約8,600億円余りに上る深刻な財政状況において、5か年計画で収支改善計画を実行中の京都市の実情があります。京都市はその収支改善の1つに、市バスの料金が無料になる敬老パスの対象年齢を70歳から75歳に段階的に引き上げると、制度改正をいたしました。
本市も持続可能な事業と位置づけるのであれば、制度の改正が必要だと思います。事業に対する本市の負担割合がここ2年間は6割、つまり全体事業費の60%から65%へと負担が増しており、利用者が減少しているのにもかかわらず、負担額は昨年度の4億1,900万円と比較して、今年度は5億1,700万円を見込んでいるとのことでした。
この負担割合がいつまで続くのかという問いには、残念ながら明確な答えはありませんでした。関係部署と連携し、負担割合も含め制度の在り方については、引き続き検討してまいりたいと認識しておられるのであれば、この事業が持続可能なものとなりますよう、厳しい財政状況から目をそらさず、利用者に理解を求めていきながら方向性を示す外部検討会の開催を早急に望みまして、次の質問に移ります。
第10回熊本城マラソンについてお尋ねいたします。
記念すべき熊本城マラソン第10回大会が、来年2月19日に開催決定されました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年、一昨年は中止しており、3年ぶりの開催となります。また、金栗記念熊日30キロロードレースも3年ぶりに同時開催されます。
新型コロナウイルスに翻弄され、市民が楽しみにしていた花火大会や、一生に一度の成人式、様々なイベントや行事を中止・縮小せざるを得なかったここ2年間でありましたが、マラソン大会の開催決定のニュースは、市民にとりまして、また、コロナ禍において増え続けている市民ランナーやマラソンファンにとりましても、久しぶりに明るいニュースといっても過言ではありません。一方で、今後の感染状況によっては中止の可能性もあるとされ、開催に予断を許さない状況にあります。
そこで、3点のお尋ねです。
1点目、今回の熊本城マラソンは、どのガイドラインに沿って開催されるのか。熊本城マラソンが国内のランナーから選ばれる要因の一つに、沿道の応援が温かくすばらしいとの評価を得ています。今大会も沿道の応援は従来どおり行ってよいのか。
2点目、中止となる場合は、感染状況や医療体制の負担が想定されますが、可否の判断の具体的な数値等があれば、お示しください。
3点目、コロナ禍での大会となれば、参加募集数はこれまでの大会より減るのでしょうか。また、昨今の物価上昇により、参加料も気になるところであります。参加人数、参加料、そしてコースなど変更される点はありますでしょうか。
以上、3点を経済観光局長にお尋ねいたします。
〔田上聖子経済観光局長 登壇〕
◎田上聖子 経済観光局長 熊本城マラソンに関する3点の質問について、順次お答えいたします。
1点目のガイドラインにつきましては、公益財団法人日本スポーツ協会のスポーツイベントの再開に向けた感染拡大予防ガイドライン及び日本陸上競技連盟のロードレース開催についてのガイダンスに沿って開催することとしております。
当該ガイダンスにおきましては、フィジカルディスタンスの確保や、ランナーとのハイタッチの禁止等の留意事項が記載されているため、これらを踏まえながら、沿道で応援される皆様にお願いする内容について、今後、数回開催を予定している実行委員会で決定していきたいと考えております。
2点目の中止の判断につきましては、先ほど申し上げましたガイダンス等を踏まえ、マラソン大会開催直前まで感染状況や地域医療の逼迫状況を注視しながら、保健所等関係機関と協議して、実行委員会で決定したいと考えております。
3点目の変更点につきましては、警備費や備品リース料等の高騰により、今大会から参加料を改定することとしており、フルマラソンが1万500円から1万4,500円へ、熊日30キロロードレースが5,500円から6,000円へ、城下町ファンランが3,500円から4,000円へ変更させていただきます。
また、城下町ファンランにつきましては、熊本城復旧工事の進捗に伴い、ゴール地点を熊本市民会館から熊本城二の丸駐車場へ変更することとしており、これに伴い距離が2.84キロメートルから3.44キロメートルとなります。
このほかフィジカルディスタンスを確保するため、参加者数や会場レイアウトの変更等を検討するとともに、新たに受付や関連イベント会場として花畑広場を活用すること等により、おもてなしの向上に努め、3年ぶりの大会が皆さんにとって安全・安心な大会となるよう努力してまいりたいと考えております。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 局長の答弁にはありませんでしたので、参加者は前回と同様と認識しましたが、フルマラソン1万3,000人ですよね。前回と同じだと確認しております。コロナ禍で定員が少なくなるのではと心配していましたので、安心しました。
参加料については、フルマラソンが1万4,500円と4,000円上がるのをはじめ、全てのコースにおいて変更されますが、今年11月に行われます福岡マラソンが1万6,400円、熊本城マラソンと同日開催されます北九州マラソンが1万5,000円と、他都市の大会と比較しましても遜色はないので、これは致し方ないと感じました。
城下町ファンランのゴール地点がフルマラソンと同じ二の丸駐車場へ変更されたことは、率直にうれしいことであります。ただ、感染拡大予防ガイダンスに従い、沿道で応援される人とランナーとのハイタッチが禁止されるのは、この大会の魅力の一つである、走る人と応援する人の一体感を見ることができないのではと、少々寂しい気がします。いずれにしても、第10回熊本城マラソン大会が成功し、これから予定されるイベントや大会の見本となるよう、関係者の皆さんの御努力に期待しております。
また、3年ぶりの開催となりますので、くれぐれも大会当日大事なものを忘れないように、準備万端でお願いいたします。
それでは、5番目、衝撃の「18.57%」今後の投票率向上対策についてお尋ねいたします。
議員の辞職に伴い、5月29日に投開票された熊本市1区、中央区・東区・北区に当たりますが、この熊本市1区の県議会議員補欠選挙の投票率が18.57%と、熊本市で過去に実施された選挙の中で最低の結果となりました。突然の選挙だったとはいえ、その数字は衝撃的でした。
短期間で候補者選びが十分できなかった、複数の政党が様子見をした、そもそも選挙に興味がない、など理由は様々でしょうが、8割以上もの有権者が投票の権利を行使しなかったということは、私、議員の1人としても大変残念であり、選挙に関心のない厳しい現実をどう受け止めてよいのか考えさせられた、今回の県議補欠選挙での投票率でありました。
選挙には、常に多額の税金が投入されます。今回の補欠選挙でも、本市では1億3,500万円の予算が組まれました。これまでも一般質問において投票率向上の対策について様々な議論がなされていますが、なかなかその効果は見えてきません。
今年は7月に参議院議員選挙、11月には熊本市長選挙が予定されております。そして、来春には統一地方選挙が控えていますので、関連して2点のお尋ねをいたします。
1点目、市長の信任を得たと思える投票率は一体何%でしょうか。
2点目、投票率向上の対策はこれまでも様々講じてこられましたが、新たな試み、具体的対策があれば教えてください。
1点目は市長に、2点目は選挙管理委員会事務局長にお尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 選挙は、民主主義の根幹をなすものであり、主権者である市民の皆様がその意思を政治に反映させることができる重要な機会です。
議員御案内のとおり、今回の県議会議員補欠選挙の本市における投票率は、過去最低の18.57%という結果でありまして、私自身、県議会議員を経験した者にとっても、衝撃的かつ極めて残念なものでありました。
信任を得たと考える投票率はとのお尋ねでございますが、いかなる選挙においても、適正な手続において執行された選挙での当選人は、投票率にかかわらず信任を得られたものと考えております。
いずれにいたしましても、選挙は民主主義の根幹をなすものでありまして、1人でも多くの有権者の皆さんの参画が望ましいと考えております。選挙管理委員会においては、今後とも投票率向上への取組を強力に進めていただきたいと考えております。
〔中川和徳選挙管理委員会事務局長 登壇〕
◎中川和徳 選挙管理委員会事務局長 投票率向上のための対策についてお答えします。
投票率向上に向けた新たな試みにつきましては、これまで公設施設である区役所やまちづくりセンターなどに期日前投票所を設置してきましたが、来月10日に執行されます参議院議員通常選挙で、大型商業施設ゆめタウンはませんに、7月2日、3日の土曜と日曜の2日間、熊本市全区を対象とした期日前投票所を開設します。幅広い世代の方が多数利用される当該施設に、新たに期日前投票所を開設することで、本市の有権者の利便性を図るとともに、選挙への関心を高め、投票率の向上につなげてまいります。
次に、具体的対策としまして、昨年10月に執行された衆議院議員総選挙において、当日投票所として借用した施設150か所中、仮設スロープの設置や人的介助を行った投票所62か所の段差等に関する調査を実施しました。その中で、特に注意が必要な投票所9か所について、投票所の変更や人的介助の増員などを行うこととしております。
また、南区では、若年層への選挙の理解と啓発を目的として、参議院議員通常選挙当日投票所の事務補助として、13名の大学生を雇用予定であり、その経験をほかの学生などへ伝えていただくことで、若い世代の選挙への関心度を高め、投票率の向上に努めてまいります。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 選挙ではよく、投票率が50%を超えなければ、当選しても信任を得たとは言えないという声も聞きますが、投票率は関係ないという市長の考え方に、私も同意いたします。
投票率向上の対策としては、今回は、来月執行されます参議院議員総選挙で、ゆめタウンはませんに2日間ではありますが、全区を対象とした期日前投票所を開設されるということであります。また、南区では、若者への選挙の理解と啓発を目的として、当日事務補助として13名の大学生を雇用予定ということであります。
特に南区の試みは、実は私も、立会人などに学生を採用すれば選挙への関心が高まると考えていた次第です。選挙への関心を高めるには、我々立候補する議員にも責任があります。投票率が一気にアップする対策は、現実ではないに等しい状況であります。ですが、今回の南区の取組を参考にして、今後、各区でも広く周知していただくなど、特に若い有権者が選挙に関心を持ってくれる取組に御尽力いただきますようお願いして、最後の質問に移ります。
職員の人事管理について、3点のお尋ねです。
この質問は、1つの事例を基に、総務局長に確認を取り、最後に、市長の人事管理について問うものであります。3点のお尋ねになりますが、それぞれ個別にお尋ねさせていただきます。
まず、区役所への職員配置基準の考え方についてお尋ねいたします。
区役所の職員は、まちづくりビジョン等に基づき、本庁ではできないきめ細かな業務や窓口業務など、住民に最も身近なポジションにおいて市民ニーズを把握して、市民生活の向上に日々努力されています。そのトップに立つのが区長であります。
このような中、ある区長は、職員の意識改革がどの程度進んだかを把握するため、自主学習に対する意欲と業務改善に対する意欲という視点から、どの程度職員の意識改革が進んでいるかを把握した職員の自主学習者の数と業務提携の数を調べた、区役所職員の意識改革の進捗状況のデータを作成されました。進捗状況の結果は、低い数値となり、そのデータを基に次のように分析、発表されました。
区役所の人事配置は、新規採用職員の配置先である一方、子育て中で残業のできない職員や、昇任が遅れている職員の配置先であるため、本庁職員と比較すると、自主学習、業務改善ともに低い結果となっていると分析し、資料に掲載されました。
このような区役所の人事配置が事実であれば、本市の差別的な職員配置は、法への抵触や社会通念上の常識を逸脱しているのではと懸念いたします。また、区役所職員は本庁職員と比較して劣っているかのような、部下を中傷したとも受け取れかねません。
コンプライアンス上、見逃せないことだと認識いたしますが、区役所への職員配置は、先ほど述べたような基準で本当に行われているのか、総務局長の見解を求めます。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 職員の人事配置は、本市の業務を効率的に遂行し目的を達成するために、職員一人一人の専門性やキャリアなど、能力や特性を見極めつつ適材適所に配置する人事マネジメントの1つでございまして、組織や職員の希望も聞いた上で、ジョブローテーションも考慮しながら行っているところでございます。
また、新たな人材の採用も大切な人事配置の1つでありまして、可能性を秘めた人材を継続的に迎え入れ、様々な部署に幅広く登用することは、組織の活性化に資することはもとより、将来に向けた市政運営にも欠かせないものと考えております。
このような考えの下、組織の目的に応じた最適な人員の配置に努めているところであり、区役所と本庁とで異なる配置基準を設けているものではございません。引き続き、計画的で適正な人事配置に努めてまいります。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 引き続き、2点目のお尋ねをいたします。
新年度の区長訓示の話を伺って、職員が受け取った感想についてお尋ねいたします。
本来、区役所のトップである区長は、部下を育成し、自己啓発に導く立場にあります。新年度の区長訓示の内容は残っていないので、ここでは紹介できず少々分かりづらいかもしれませんが、その区長訓示の話を聞いて、次のように感じた職員がいたそうです。
本庁から来られた皆さんは、区役所の仕事は3か月もすると、能力の半分くらいでできるようになると思う。または、残りの半分はワーク・ライフ・バランスや本庁に帰るときのための研修期間にしてもらったらよいと思う。
このように受け取った職員は、一生懸命に頑張ろうと思っていたのに、やる気がなくなったと思ったのではないでしょうか。区役所職員の士気は下がり、区長と職員との信頼関係を構築することは、残念ながらできない状況と推測されます。職員によい影響を与えないことは明らかであり、ひいては区民の皆さんへのサービス低下につながるのではないかと懸念いたします。
このような状態で、区長としての人事管理マネジメントが機能しているのか、機能しているとお考えなのか、総務局長にお尋ねいたします。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 局長及び区長は、部長や課長を含む部下職員の指導、教育及び監督を行い、強い指導力の下、組織を統率することにより施策を推進し、目標を達成させる役割を担っております。
また、各局・区において、人事管理や人材育成を適切に行い、職員のモチベーションを高めていくことも局長・区長の重要な役割であり、議員御案内の事案につきましては、反省すべき点が多くあると考えておりまして、総務局として、これらが適切に行われるよう支援してまいります。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 区役所と本庁で異なる配置基準を設けているものではないと、明確に答弁いただきました。幹部職員の強い指導力が誤ったベクトルを示せば、部下である職員のモチベーション向上どころか、やる気スイッチも入らない状態になります。ひいては市民サービスにも影響を及ぼすことを総務局はしっかり認識して、業務を遂行していただきますよう強くお願い申し上げます。
最後に、市長にお尋ねいたします。
人事管理とは、組織の宝である人材をより効果的に活用していくために、規則や処遇を定めて適切に運用管理していくことだと認識いたします。もちろん人事評価や人事育成も含まれるでしょう。
本市での人事管理のトップは、任命責任者である市長です。ここまでのやり取りを聞いて、任命権者としての市長の見解をお聞かせください。
次に、本市におきまして保留児童への対応でございますが、保育サービスの充実の観点から重要な課題と考えておりまして、これまでも施設の定員増など、保育の受皿の確保に取り組んできたところでございます。
今後は、保留児童の保護者のニーズを改めて聞き取り分析した上で、保留児童の解消に向けた具体的な取組について検討してまいります。
〔5番 古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
全施設の定員の空き合計数が、おととしが796人、昨年が1,096人、今年が1,330人と増加している状況です。本市の未就学児人口は減少しています。保育施設の受皿は確実に増えています。それなのに保留児童が減らない。答弁では、今後まずは保留を決めた保護者のニーズを改めて聞き取り、分析をすると前向きにおっしゃっていただきました。対策の効果が上がっていない事態が本当に地理的要因なのか、好まれる園の指針や風土なのかなど、まずはその要因を明確にし、対策を見いだし効果的に取り組まれ、父母の社会復帰や活躍を阻害する現状が改善されることを期待いたします。
続いての質問です。
離婚に伴う行政相談についてです。
本市の令和2年の婚姻件数は3,386件、離婚件数は1,241件、離婚率36%、3組に1組が離婚をしています。離婚時における主な取り決め項目としては、子供に関することです。親権、養育費、面会交流などが挙げられます。日本では昨今、養育費の未払いや面会交流が不可能になっている状況が問題視されています。面会交流とは、子供と離れて暮らしている父母の一方が子供と定期的、継続的に交流することを言います。
熊本市では、東区の保健子ども課で離婚前後の相談を行っています。相談員は現在1人、司法の専門家ではない方です。親権や養育費、面会交流に関しての相談に対応していますが、今年度からは2つの新たな支援を開始しました。公正証書や調停証書など、それらの作成費用に対しての助成金、もう1つは養育費が保証される保険に加入するための助成金、いずれも上限が5万円です。
しかしながら、行政に離婚時の相談窓口があること、専門の相談員がいること、助成金があること、これらの認知がまだ足りていません。潜在的なニーズはものすごく大きいと感じています。虐待やDVの被害者を守ることは最優先とされることです。しかし、それ以外の問題でも、離婚する夫婦の意向や考えに折り合いをつけるのは容易ではありません。
この相談事業の必要性の根拠は何かというと、夫婦が離婚を考えるタイミングに双方に担うべき親としての義務があること。子供の最善の利益とは何かを考えること。子供にも権利があること。これらを啓発する必要性があるということです。その啓発、相談支援は、行政だからこそできる役割だとも考えています。そして、その役割を担っていただいている相談員の責務も大きいものだと察しています。
兵庫県明石市の取組を紹介します。
離婚時の父母間の話合いのきっかけづくりや養育に関する両者の合意、子供の養育計画を約束する際に参考となる書式を明石市で作成し配布しています。子供の養育に関する合意書と子供養育プランという書式です。また、子供が親の離婚に際して、どのような気持ちになりやすいか、適切な伝え方、アドバイスを盛り込んだ、親の離婚と子供の気持ちの書式も作成し配布しています。配布のタイミングは、離婚届を取りに来る方へ、そして離婚相談に来られた方へ配布されています。
ここで、3点お尋ねします。
1点目、離婚届を配布する際や相談時に、相談窓口の案内、これと2つの新しい助成支援制度の案内をセットにして配布していただけませんでしょうか。
2点目、本市でも、子供の養育に関する合意書と子供養育プラン、それから、親の離婚と子供の気持ちの書式を作成してはいかがでしょうか。
この2点を後ほど、健康福祉局長にお願いいたします。
そして、もう1点。養育費、面会交流の相談員は現状1人です。明石市のように、司法の専門家が相談員でもなく、弁護士との連携を構築している体制ではありません。相談員の環境を今後は強化していく必要性があると考えています。行政の相談員として、司法相談の域には入らず、また民事不介入である立場で、しかしながら夫婦の権利と義務を啓発し、子供にとって最善の利益が何かを提起する役割を担っていただけるよう、市役所内の法制課や弁護士との連携をしっかり担保すべきではないでしょうか。
こちらについては、市長、お願いいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 養育費相談窓口や支援制度につきましては、窓口や制度の案内チラシを、現在、各区役所や母子家庭等就業・自立支援センターはじめ、約70か所の施設に配布し、また、市ホームページや市政だよりを活用して周知を行っているところでございます。
議員御提案の離婚届等の関係書類との同封でございますが、離婚届の配布時に合わせて配れるよう、届出窓口である関係課と協議してまいります。
次に、議員から明石市の取組につきまして御紹介がありましたけれども、本市では養育費や面会交流につきまして、法務省作成の手引きを区民課窓口において配布しており、御利用いただいているところございます。
また、離婚前後の相談におきまして、相談員が、訪れた父母に対し、子供たちの気持ちも理解するようお伝えするなど、離婚後の養育費の支払いや面会交流の実施につながるよう丁寧な説明を行っているところでございます。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 養育費専門相談員は、困難事例があった場合は、本市の法務部門に法律相談や業務上の相談を行うほか、厚生労働省から委託を受けました養育費等相談支援センターに助言を求め対応しているところです。
また、本市が相談事業を委託しております熊本県ひとり親家庭福祉協議会においては、養育費の未払いに対する強制執行等、法的な対応が必要な場合は、弁護士による法律相談も行っております。
今後も、子供の利益が最も優先されるよう、関係機関とも連携し、養育費の支払い確保や安全・安心な面会交流が実施されるよう努めてまいります。
〔5番 古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
DVや虐待、ネグレクトなど、特別な事情を除き、面会交流をしなかった子供は自己肯定感の低下、社会的不適応など、精神発達と密接に関連することが海外の追跡調査でも明らかになっています。また、養育費の未払いは、ひとり親家庭の貧困に直結する問題で、平成28年度の調査では養育費の受給率は24%です。それらの課題が背景にあることを深く受け止めて、ぜひ離婚相談窓口の存在と新しい助成金制度の周知を離婚届お渡しの際に同封できるよう早期に対応をお願いいたします。
子供の養育に関する合意書と子供養育プランに関しては、既に現在、法務省で作成された手引きを熊本市で活用して配布しているとのことです。ただ、親の離婚に際しての子供の気持ちを取り上げているかという点では、啓発や情報提供としては不十分な内容です。今後、明石市を参考に本市独自で作成していただき、離婚届と同時に配布されますことを強く要望いたします。
また、たとえ子供がいない夫婦に対しても、社会全体の子供の権利の啓発として考えるならば、決してマイナスになる情報ではないはずです。どこの窓口でも、夜間対応する守衛室でも、同様に同封できるようにお願いいたします。
相談員自身の法的な支援体制も強化しながら、ニーズに合わせて相談体制の拡大をしていただきますようお願いいたしまして、次の質問にまいります。
児童家庭支援センターについてです。
児童家庭支援センター、以下児家センと言います。児家センは業務委託として、昨年度から2年間の契約で事業を開始しました。近年の虐待件数や発達、育成に関する相談が増加する中、児家センを設置したことにより、児童相談所、児家セン、各区役所の保健子ども課との3つの機関で業務のすみ分けをし、効果的に機能することを目指しています。
基本的にハイリスクや緊急度の高い虐待案件は、児童相談所が対応します。児家センの役割としては、ハイリスク以外の案件やそのほか虐待や養育に関する相談への対応、助言、指導、そのほか虐待の未然防止や親子関係の再構築を支援することなどが求められています。
ただ、今回児家センへの業務委託では、24時間の電話相談を実施することが条件の1つとなっていました。児家セン本来の業務のほかに、児童相談所業務に関わる午後6時〜翌朝8時半の夜間、それから休日の電話相談と虐待通報にも対応しています。児家センの体制に、特に夜間の電話対応、通告対応に追われている現状が顕著になっています。
ここで1点、健康福祉局長にお尋ねします。
初年度の児童家庭支援センター業務を対象とする相談件数、それから、児童相談所業務を対象とする休日、夜間の相談件数をそれぞれお示しください。また、その件数は当初事業委託をする際に見込まれていた件数か、そして現在の児家センの相談対応能力をどのように分析しているか教えてください。
健康福祉局長、お願いいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 令和3年度の児童家庭支援センター業務に係る相談件数は、日中が1,600件、夜間が234件、合計1,834件でございまして、児童相談所業務に係る夜間、休日等の電話相談件数は、2,093件でございました。
令和3年度の相談実績件数は、契約時の見込みを上回っておりますが、児童家庭支援センターの工夫や御尽力により、相談に対し十分な対応をしていただいているところでございまして、家庭からの相談に早期に対応し、児童虐待を未然に防ぐなど、期待した成果を上げているところでございます。
〔5番 古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
答弁の中に、契約時の見込みを上回っているとありましたが、当初は児童相談所業務に関わる夜間、休日の相談件数を令和元年度の実績である949件程度を想定していたようですが、実際は昨年度の夜間、休日の相談実績は2,093件、2倍強です。契約の設計段階である2年前と現在に大きな乖離があります。求められる児家センの本来の事業を遂行することは当然ですが、現状は休日、夜間の電話対応に係る人員と労力に重きが偏っています。ぎりぎりのところで何とか対応されている状況がうかがえます。
さらにお尋ねします。
夜間休日の対応は児家センの問題だけでなく、市の相談の対応策として、人員を補填するなどして支援すべきだと考えます。市の対応をお聞かせください。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 児童家庭支援センターは、夜間休日におきましても相談対応を行っており、虐待通告を受けますと、児童相談所職員と共に緊急で現場に行っていただくこともございます。
相談体制につきましては、対応件数の実績等を踏まえながら改善の検討を行ってまいりたいと考えております。
〔5番 古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 児家センは今動かないと、その先に子供の命や安全がかかっている一刻を争う状況があります。市として、虐待通報や相談に対する体制を問われる問題だと考えています。答弁でありましたが、対応件数の実績を踏まえて改善を検討するとおっしゃっていただきました。早期に児家セン体制を改善する方法の検討、実行をお願いします。
続いての質問です。
今後の児童相談所、児童家庭支援センター、各区役所の保健子ども課の体制についてです。
今後、人口減少、少子化が進むものの、虐待件数や発達や成長に関する相談は減少傾向が早々望める状況ではありません。児家センを設置したことは画期的な一歩でしたが、その体制については児童相談所機能が本当に充足しているか、全体的な視点で分析し、改善へと対応策を講じていくことは必要です。
ここで、市長にお尋ねします。
人員を増員するか、増設を図るかも含め、今後の児童相談所、児童家庭支援センター、各区役所の保健子ども課の体制についてお示しください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 児童相談所の人員体制につきましては、令和3年度に弁護士を、令和4年度は医師を常勤で配置する等、体制の強化を進めてきたところでございますが、虐待対応件数が増加傾向にありますことから、児童福祉司等の増員など、さらなる体制整備に努めてまいります。
児童家庭支援センターは、担当局長が御答弁申し上げましたように、子育て中の保護者等からの相談対応や児童虐待の重篤化の予防に効果を上げておりまして、児童虐待の相談状況等の推移を十分考慮、分析しながら対応を検討してまいります。
今後も、児童相談所の機能強化に加えまして、子ども家庭総合支援拠点であります区役所、児童家庭支援センターとのきめ細かな連携を図り、子供が安心して生活できる社会の構築に向け、児童虐待の防止等に全力で取り組んでまいります。
〔5番 古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
児童相談所への弁護士と医師の常勤配置は大変心強い体制強化ですが、しかしながら、基準となる法定人員は不足しております。令和3年の法定定数からすると、現在は児童福祉司、児童心理司、合わせて22名が不足している状態です。その不足に対し、9名の会計年度任用職員を補充していますが、それでも13名のマンパワーが不足しています。
児家センも逼迫した現状であることは、先ほどお伝えしたとおりです。児相、児家セン、区役所と連携をし始めて1年2か月。子供の命、安全な環境、未来の人生に関わる重要な部署です。3つの機関の現状の対応能力、何が課題で、改善には何が最適かを総合的に整理し、早急に体制を強化していただきますようお願いいたします。
最後の項目です。
家庭で養育されない子供たちへの支援についてです。
国連子どもの権利委員会は、家庭で暮らせない社会的養護が必要な子供たちを里親などの家庭養護を原則とするよう日本政府へ勧告しています。
熊本市は、熊本県社会的養育推進計画の中で、2029年までの里親委託率を合計で38%と設定しています。本市の里親委託率は令和2年度末で16.2%、全国で下位から12番目です。本市では昨年度から、里親養育包括支援、フォスタリング事業と言いますが、そのフォスタリング事業の業務委託を開始しました。
まずは1点、お尋ねします。
昨年度のフォスタリング事業開始と同時に、児童相談所でも里親支援専門相談員を4人体制に増員しました。里親登録者数、委託率の変化、フォスタリング機関での里親登録の研修方法、里親を支援する体制の変化、市との相互連携など、成果として評価できる点と課題を教えてください。
健康福祉局長、お願いいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 フォスタリング事業のこれまでの成果と課題についてお答えいたします。
フォスタリング機関におきましては、里親委託の推進に向け、広報やリクルート活動の強化、研修の充実、支援体制の整備などに取り組んできたところでございます。その結果、令和3年度末の里親登録数は116世帯と、対前年度比で11世帯増加し、里親委託率は18.3%と、対前年度比で2.1ポイントの増加でございました。
次に、里親研修につきましては、法定研修に加え、里親のニーズを踏まえた養育実践研修が導入されるなど改善が図られております。また、里親の支援体制につきましては、本市とフォスタリング機関が情報共有の下、役割を分担し、児童養護施設等に配置される里親支援専門相談員や里親協議会等とも緊密に連携することで、手厚い体制が構築できたものと考えているところでございます。
課題は、さらなる里親の登録数増加と養育スキルの向上と考えており、引き続き社会的養育が必要な子供に対し、安心して生活できる家庭的な環境を提供するとともに、子供の年齢や特性、加えて子供自身の希望にも柔軟に対応できるよう、関係機関との連携を強化し、里親支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〔5番 古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
里親登録数は前年比11世帯増加、委託率は18.3%と微増、また、里親制度やリクルートに関する広報は日常でも目にする機会が増えており、広報活動の拡大を感じていました。また、独自に養育実践研修を導入している点などもうかがえ、その努力を大変評価させていただきたいと思っています。
里親委託推進事業の役割は大きいですが、子供が安全に信頼できる環境で育ち、家族の在り方や人間関係の築き方、社会性などを子供に教えることのできる里親さんを増やせるようにと、引き続き頑張って取り組んでいただきたいと思います。
続けて2点、お尋ねしてまいります。
里親委託率の増加を力強く推し進めていく半面、気になっているのが施設の小規模化とのバランスです。計画では、施設小規模化に合わせ受入れ定員も減らしていくようですが、子供が行き場がないということが起きないか懸念されます。里親委託率の変動と児童養護施設の小規模化とのバランスをどのように保っていかれますでしょうか。こうのとりのゆりかごを設置していますので、特に乳児に関しては一時的な受入れを含め、乳児院の小規模化は現実的ではないと考えますが、いかがでしょうか。
次の項目と一緒に、健康福祉局長にお願いいたします。
続いて、社会的に養護や支援が必要な18歳以上の自立支援についてです。
現在の児童福祉法では、社会的養護を必要とする子供たちは、通常18歳となり高校を卒業したら、施設や里親家庭を出て自立しなければなりません。大学就学などの場合は、22歳まで施設での措置の延長が認められることがありますが、実際に措置延長される子は1割程度です。
そんな中、先日、改正児童福祉法が可決、成立し、令和6年からは、原則18歳までとなっている養護や支援の対象の年齢制限を撤廃する方針が固まりました。今後は本市も、社会的養護自立支援拠点事業に取り組む必要性がさらに高まります。具体的には、自立支援を必要とする人に相互の交流を行う場所や情報の提供、相談、助言、関係機関との連絡調整を行うことが求められてくるでしょう。
現在本市には、18歳以上でも自立支援の相談や居場所を支援している事業が2つあります。1つはNPO団体の運営ですが、県と市が共同で委託している施設、ここでは生活相談、就業相談など、継続的に支援をしてくださっています。制度の網から抜け落ちている年代の支援をよくぞやってくださっていると感謝の念に堪えません。ただ、利用可能となる対象者が児童養護施設や里親家庭から巣立った人たち、社会的養護歴がある方のみが利用できます。
もう1つは自立援助ホーム、利用対象者は義務教育を修了した20歳未満の児童などとなっており、施設や里親で育った児童のほかにも、自立のための援助、生活指導などが必要と首長である市長が認めた児童となっています。ただ、年齢が二十歳未満という対象です。
実際には、養護施設や里親など、社会的に養護されていない子供たちの中にも、虐待やネグレクト、貧困など、問題を抱えたままで解決していない状況の若者は一定数います。自立したくても頼るところがない若者は、ホームレスになったり、女性の場合は生活のセーフティーネットとなっている性の産業へと足を踏み入れてしまう傾向が多いことも現実的な問題です。
ここで、質問です。
年齢や措置歴の有無にかかわらず、居場所支援や自立相談、サポート事業に関し必要な支援の仕組みづくりは、緊急的に始めるべきだと考えています。児童養護施設、自立援助ホームの活用、民間との連携など含め、その仕組みの必要性と今後の検討に当たっての課題をお示しください。
先ほどの質問と合わせて2点、健康福祉局長、お願いいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 2点のお尋ねにお答えいたします。
まず、里親委託率の変動と施設の小規模化とのバランスについてのお尋ねですが、熊本県社会的養育推進計画では、社会的養護が必要な子供の数の見込みを推計しており、本市ではこの推計に基づき、里親等への委託の推進や乳児院を含む児童養護施設等の小規模化等の取組を進めているところでございます。
本計画では、乳児院、児童養護施設も家庭養育が困難な場合の養育環境と位置づけており、施設の児童福祉専門職員による養育を必要とする子供が今後も一定数見込まれますことから、里親委託の進捗状況を見つつ、施設の意向も丁寧に伺いながら、適切な定員管理を行ってまいります。
次に、社会的に養護や支援が必要な18歳以上の方の支援についてでございますが、虐待や貧困などにより、実親を頼ることができず、経済的、社会的な自立において様々な困難に直面している若者への支援は、児童養護施設等の入所の有無や年齢にかかわらず、重要な課題でございます。